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2023.07.27

引退馬を守りたい…瀬戸内市の男性が牧場に込めた思い【岡山】

引退後の競走馬や、乗馬用としての役割を終えた馬が余生を過ごす養老牧場が、瀬戸内市にあります。天寿を全うできるように…。そんな思いで牧場をオープンさせた男性の思いを取材しました。

瀬戸内市牛窓町に2022年12月にオープンした「ケイメイ牧場」。運営するのは野崎啓明さんです。

(ケイメイ牧場・野崎啓明さん)
「かわいいです。美人ですよ3歳の」

メスのトントントントロは、佐賀競馬で競走馬として走っていました。人懐っこく、優しい性格が競走に向かなかったのか、成績は10戦0勝。結果が出せず、食肉用として売りに出される寸前に、厩務員から引き取りを頼まれました。もう1頭のグラマーは1勝したものの、その後は良い成績が出せず、野崎さんのもとへ…。

(ケイメイ牧場・野崎啓明さん)
「1回も勝てなかったら競走馬としてはダメ。乗馬クラブも適性があるので適していなければ肉になる。行き場がなかった」

2頭の飼育は野崎さんが牧場に住み込み、1人で行います。1日4回のエサ、馬房の掃除、馬の手入れ。ほぼ24時間体制です。

(ケイメイ牧場・野崎啓明さん)
「事務所があるので、そこに待機して。ご飯の買い出しで夜にちょっと出て、10時に帰ってきて、またエサをやりに来る。あとはSNSを更新して寝るだけ。そんな生活。生き物の世話は身を犠牲にしてでないと」

今は大人1人500円の入場料や、馬のエサやり体験などで運営資金をまかなっています。

(ケイメイ牧場・野崎啓明さん)
「GWとか遠方から来てくれて、名古屋、大阪、佐世保から来てくれたり。SNSで発信しているので全国から来てくれていてすごくありがたい」

(来場者は…)
「なかなかサラブレッドと触れ合えるところはないが、ここはふれあい体験もできる。ニンジンあげたり、ブラッシングしたり。穏やかな気持ちになって帰れる。かわいいですね、ほんとに」

野崎さんは以前、県内の乗馬クラブに勤めていた頃に養老牧場の運営を計画しました。

(ケイメイ牧場・野崎啓明さん)
「人のために頑張ってきた馬を、走れないからといってどっか行ってしまうというのはかわいそう。それをずっと疑問に思っていた」

サラブレッドの寿命は20年から30年。このうち、競走馬として活躍できるのは長くても10年以内です。1頭でも多くの引退馬が穏やかな余生を過ごせるように…。ケイメイ牧場は、そんな野崎さんの思いが込められた養老牧場です。