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2023.07.11

「どんな思いで解剖にあってきたのか…」ハンセン病療養所・長島愛生園入所者の解剖録の検証へ【岡山】

瀬戸内市の国立ハンセン病療養所、長島愛生園で見つかった入所者の解剖録について、入所者の遺族を含む医学者らの研究チームが、解剖の実態を解明するための検証を進めることになりました。

(長島愛生園 山本典良園長)
「カルテや解剖録含め、研究したいという申し出は今回初めて」

解剖録を検証するのは、独協医科大学准教授の木村真三さんらの研究グループです。

木村さんの大伯父、仙太郎さんは長島愛生園の入所者で、1941年に亡くなったあと、遺体の解剖が行われました。木村さんは2022年、その解剖録の開示を求め、元患者や家族に向けられる偏見・差別について考えてもらおうとその後、一般公開しました。

合わせて医学者としてハンセン病の隔離政策や治療の変遷に照らし合わせた解剖の実態の研究を進めていて、6月、この研究が国の研究事業に選ばれました。愛生園には1931年から25年間に亡くなった入所者1834人分の解剖録が残っていて、解剖は本当に必要だったのか、医学的な視点での解明を目指すということです。

(獨協医科大学 木村真三准教授)
「解剖によってどこから物事が変遷してきたか、ものの見方が変わってきたか、そういったことをきちんと見ることが、人権問題についての掘り下げになる」

愛生園は倫理委員会の手続きを経て、個人情報などに配慮しながら、検証に必要な情報を提供する方針です。

(長島愛生園 山本典良園長)
「ハンセン病(療養所)が閉鎖的な所だった。これからも閉鎖的ですか?と言ったらそれは違う。今まであったことを検証しないといけないので、全てお見せしますというスタンス」

愛生園で初めて行われる解剖録の検証について入所者は…。

(長島愛生園入所者自治会 中尾伸治会長)
「先輩たちがどんな思いでそういう目(解剖)にあってきたのか、本当に提供(同意)したのか分からないところがあるから、知りたい」

解剖録の検証は早ければ2023年秋から始まり、約3年かけて検証結果がまとめられるということです。