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岡山放送

2026.04.03

サッカーJ1公式戦でも試験導入 落ち着いて娯楽も楽しめるカームダウンスペース【手話が語る福祉 岡山】

 

  手話が語る福祉のコーナーです。光や人の視線などの刺激でストレスや不安を感じた時に落ち着きを取り戻すための空間、カームダウンスペースが広がりを見せています。現状を取材しました。

◆大きな音や人のざわつく声・視線に敏感な「感覚過敏」を抱えて生きるアーティストの声

騒がしい場所や人が多いところにいると気分が悪くなるなど五感が過敏で日常生活に影響が出る感覚過敏。岡山市北区の就労継続支援A型事業所、ありがとうファームでアーティストとして、遊び心あふれるアートを手掛けるKAITOさんもその一人です。

(ありがとうファーム KAITOさん)
「大きな音や、ざわざわと色々な人の声が重なるのが得意ではない。色々な人の視線に敏感になる時もある」

ありがとうファーム KAITOさん

◆天井は水玉模様…。光や視線などでパニックになるのを防ぐための空間「カームダウンスペース」の特徴

こうした声を受けて3年前に開発されたのが「カームダウンスペース」です。光や人の視線などの刺激から逃れパニックになるのを防ぐための空間です。その特徴はすべてを遮断しないことです。

(佐藤理子アナウンサー)
「中に入ると天井は水玉模様のように穴が空いています。真っ暗ではなく程よい明るさが保たれていて、自然とリラックスできるよう工夫されています」

中は真っ暗にするのではなく、周囲の気配を感じられるようにほどよく光が入るようになっています。また、長さを調整できるロールスクリーンに加えて足元に30センチの隙間を設けることで、中の様子を確認できる工夫が施されています。

また入口は車いすも使用できる幅を確保し、壁には衣服などを再利用した素材を100%使用。環境にも優しくぶつかっても痛くない柔軟性も持たせています。

中に入ると天井は水玉模様のように穴が空いている

◆総社市の企業が「カームダウンスペース」を開発 トップが語る商品へのこだわりとは

開発したのは総社市のメーカー、オーエム機器です。

(オーエム機器 小野雅明社長)
「どこにでも置けるサイズ感で材料にもこだわって作ったものとなっている」

外の壁にはありがとうファームに所属するアーティストがデザインしたアートが施されています。

(オーエム機器 小野雅明社長)
「デザイン的にも良いものになった。こういう人がいるというのを色々な場所で知ってもらうきっかけにもなっている。空港に置くなら飛行機をモチーフにしたものをいれてほしいとコミュニケーションをとって、置く場所に合わせてアーティストにデザインしてもらうこともやっている」

ありがとうファーム所属アーティストがデザインしたアートが施されている

◆カームダウンスペースを体験すると…適度な明るさ・静けさに「社会からも出てきてもいいんだよ」と感動

開発後、大勢の人が集まる岡山市内の商業施設で実証実験が行われ、KAITOさんも実際に体験しました。

(ありがとうファーム KAITOさん)
「(以前は)お手洗いに入って、5分10分一息ついて出てきたりとういう落ち着き方をしていたので、社会からも出てきてもいいんだよと認められたようなうれしさがあった。ちょうどいい明るさと仕切りによる安心感とアナウンスの声も聞こえるがざわざわ感は落ち着いていたので、ほどよい静けさだとこの2つに感動した」

2023年2月 イオンモール岡山(岡山市北区)

◆岡山・高松空港など国内18の空港に設置 大阪・関西万博でも活用された

感覚過敏の啓発などを行う東京の感覚過敏研究所によりますと、カームダウンスペースは3月の時点で国内18の空港に設置されています。オーエム機器が開発した設備も岡山空港や大学など6ヵ所に設置され、2025年の大阪・関西万博でも活用されました。

感覚過敏研究所調べ

◆ファジアーノ岡山ホーム戦でも試験設置 発達障害がある子供たち4人が「J1」初観戦

広がりはこんなところにも。

サッカーJ1・ファジアーノ岡山の3月のホーム戦、スタジアムの4階に発達障害などがある子供でも安心して観戦できるようにカームダウンスペースを備えた専用のスペースが試験的に設けられました。この日は、発達障害がある子供たち4人が初めて観戦を楽しみました。

(旭川荘旭川学園 寺町清二園長)
「観戦に来る最初の一歩かなと思っていてありがたい。障害あるなしに関わらずスタジアムに来たいと思えるのでは」

◆感覚過敏でも“チャント”落ち着ける観客席 ファジアーノ担当者「利用してもらう機会を増やしたい」と設置検討へ

  (ファジアーノ岡山 森岡祐平さん)
「子供たちの観戦している様子を見ると、こういうものがあることによって安心して見てもらえる。色々な人に知ってもらい、利用してもらう機会を増やしたい」

ファジアーノ岡山は今回の導入を踏まえて本格的な設置を検討したいとしています。

ファジアーノ岡山 森岡祐平さん

◆カームダウンスペース開発前と比べ考え方にも変化が…開発企業の“社会課題解決”への思い

カームダウンスペースを通して多くの人の声に耳を傾けてきた小野社長。開発前と比べて考え方にも変化があると言います。

(オーエム機器 小野雅明社長)
「多様性という言葉はよく聞くありふれた感じに今はなっているが、実際に現実社会に実装される時にどういうものが必要になるか、具体的な解決策を深掘りして考えることが習慣化している。身近な課題に携わる社会の一員として、一企業としてやっていくことがもっとあるのではないか」

特に人が集まるイベントや施設を、運営をしている人に知ってもらうことで、誰もが安心して過ごせる環境づくりが広がるといいなと思います。。

オーエム機器 小野雅明社長