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2023.08.15

「遺族としての責任」ハンセン病元患者への偏見・差別解消を訴え…「解剖録」公開の男性が啓発活動【岡山】

瀬戸内市の国立ハンセン病療養所で入所者の「解剖録」を公開した遺族の男性が、全国で啓発活動を続けています。夏休みに合わせ東京で行われた人権フォーラムに招かれ、偏見・差別の解消を訴えました。

(長島愛生園入所者遺族 木村真三さん)
「差別を受ける側の人たちが、“実はこうだった”と話せるような環境でなければいけない」
「人ごとではなく自分の問題として関わったら変わるのではないかというのが僕の願い」

ハンセン病の元患者や家族に向けられる偏見・差別を解消したいと活動を続けるのは、獨協医科大学准教授の木村真三さんです。木村さんの大伯父・仙太郎さんはハンセン病を患い、瀬戸内市の国立療養所長島愛生園に入所。1941年55歳で亡くなりました。

28歳の時、大伯父がハンセン病患者だったことを知った木村さん。仙太郎さんが亡くなった後、解剖された記録が残っていることを知り、開示を求めました。

(木村真三さん)
「これも遺族の生きた証、人権回復というのは家族の人権回復も含めて自分たちの我がごととして見ていける」

木村さんは多くの人に考えてもらおうと仙太郎さんの「解剖録」を一般公開しました。

(木村真三さん)
「一人でどんなに頑張っても孤軍奮闘、ほんとにやっていけるのは皆さんの力」

8月11日、東京・東村山市で行われた「人権フォーラム」に招かれた木村さん。講演の後行われたシンポジウムでは、ハンセン病問題に取り組む俳優やアーティストなどが意見を交わしました。

イラン出身のタレントサヘル・ローズさんは、入所者との交流を続けているそうです。

(サヘル・ローズさん)
「私は当事者となるべく関わっていきたい、この人は自分と向き合ってくれた、そういう存在、まぶたの裏側に映る人でありたい。人とのつながりを学ばせてもらったので、そのことを伝えていきたい」

ファッションデザイナーの鶴田能史さんは、入所者にモデルを依頼し、ハンセン病をテーマにしたファッションショーを開催しました。

(ファッションデザイナー 鶴田能史さん)
「洋服のデザインに込めるのはおしゃれさや派手さ、個性的ではなく、確かなメッセージを込めたいと活動している。それならば、ずっともんもんとしていたハンセン病に対する差別・偏見ですらファッションに込めることができるのでは」

(木村真三さん)
「僕はうれしくて感動して、言葉にできないほどうれしい」
「それぞれの思いを語ってもらい、それをつなげていく作業を僕はしたい」

木村さんの思いは広がっています。

(木村真三さん)
「なかなか難しい。一歩一歩前進できない」
「当然しないといけないし、展開させていかななければならない、遺族としての責任がある」