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2023.07.28

夜空彩る鎮魂の花火…瀬戸内市のハンセン病療養所で夏祭り【岡山】

瀬戸内市の国立ハンセン病療養所長島愛生園で、7月27日夜、亡くなった入所者を悼む花火が打ち上げられました。療養所には4年ぶりに地域の人も集まり、にぎやかな夜を迎えました。

夜空を彩る約2000発の花火。国の誤った隔離政策で強制収容され、亡くなった入所者の魂を慰めようと打ち上げられました。瀬戸内市の国立ハンセン病療養所長島愛生園です。27日、毎年恒例の夏祭りが行われました。

園内には提灯が飾られ、浴衣を着た職員が焼き鳥などを用意して入所者にふるまいます。新型コロナの影響で地域の人たちを迎えて行われるのは4年ぶり。27日は園に多くの人が訪れていていつになくにぎやかな夕暮れを迎えていました。

(来園者)
「小豆島から来ました」
(長島愛生園入所者自治会・中尾伸治会長)
「どうにかコロナがおさまって、一般の人が入ってもいいよと園の幹部言うてくれてこういうことになったからよかった」
(来園者)
「次の世代に伝える、この子まだ3歳だけど、ここの存在を覚えている中尾さんたちの生きたことを覚えているということをつなげていくのが私の生きがいといいますか定めかと」
(入所者・石田雅男さん)
「楽しいですね」
「花火の夜を外からも来てくれて、垣根が全くないということも夏祭りの打ち上げ花火の素晴らしい所」
(入所者・田村保男さん)
「外部から人がたくさん来ればね、気持ちが違う、お客さんがないとね」

2023年は、療養所のある島と対岸を結ぶ「邑久長島大橋」が架けられて35年。これを記念して花火が打ち上げられました。

(中尾伸治会長)
「最初は架橋で喜びの花火だったけれども、年々花火する度に亡くなった方々が寄付くださって、花火上げられるようになったので、それから慰霊を表に出すようにしてます」
(石田雅男さん)
「花火が上がったときに花火の中になくなった友人や先輩が思い出されることが一番の慰霊になるのではないかと」
(中尾伸治さん)
「いつもの数と変わらないがなんか盛大に感じた」
「私たちのしゃべることもあとわずかだと思う、そんな中でどう残していくかだけは、私たちだけでなく、皆さんと考えていかなければ」

長島愛生園の入所者は95人で平均年齢は88・4歳。2022年の1年間に16人の入所者が亡くなりました。たくさんの人が見つめた慰霊の花火は、多くの人の心に、偏見・差別の解消への思いを灯してくれたに違いありません。