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2023.08.09

2大高級フルーツに“大きな格差” 桃はブドウの「20分の1」…課題と戦略は?【急上昇ニュース岡山】

今話題のニュースやネットで関心を集めたニュースを詳しく解説する「急上昇ニュース」。配信担当の堀さんです。

今回のテーマは、「今が旬!岡山の高級フルーツ最新事情」です。モモやブドウ、岡山には誇れるフルーツがあります。
桃1
「フルーツ王国」ともいわれますが、都道府県別の出荷量でブドウは3位、モモは6位(令和4年産 農林水産統計)。シェアも決して多くありません。

それでも岡山は独自の「高級路線」で地位を築いています。そこにはどんな戦略があるのか?そして課題は?旬のフルーツ最新事情です。
桃2
8月9日と10日は、語呂合わせで「白桃の日」。色白でとろける肉質の白桃は、岡山を代表するフルーツです。

県内有数のモモの産地、岡山市北区の一宮地域。
桃3
ここで4年前からモモを栽培するのが、高木直哉さん(37)です。長野県出身、東京で営業職をしていましたが、モモ栽培を始めた理由は…

(モモ農家 高木直哉さん)
「モモっておいしくないですか?(モモが大好きでモモ農家に?)そうですね」

高木さんのような新規就農者が、今、増えています。

岡山を代表する高級フルーツ、白桃。
桃4
値段は1玉1000円を超え、デパートなら3割、4割増しになります。品種は時期によって様々ですが、共通するのはどれも白いことです。
桃5
例えば川中島白桃は、他県のものと比較すると白さが歴然。

その理由は、栽培時の袋掛けにあります。
桃6
岡山では、収穫まで袋を取らず、日に当てないため、モモが白くなります。

(モモ農家 高木直哉さん)
「閉じている袋なので、チラッと開けてみて、どんな色か確認して、熟れていたら収穫。熟練の技術で、僕も教えてもらいながらやっている」

袋は、底の空いたものや二重になったものなど、品種によって最も適したものを使います。袋を取ると、たとえ岡山のモモでも真っ赤になってしまいます。

(モモ農家 高木直哉さん)
「赤くなると食感が固めになる。糖度は赤い方が上がるけど、肉質が荒めになる」

収穫されたモモは、選果場でベテランスタッフが品質を分類。
桃7
傷みやすい白桃の扱いは、慎重を要します。さらに機械で糖度を図り、厳しい基準を通過したものだけが、最高級品として箱詰めされます。品質の低いものは加工用などに回され、ブランド力を保っています。

モモと並んで岡山を代表するフルーツがブドウです。
桃8
OHKでは2022年6月、「種なしのブドウ、シャインマスカットの売り上げが好調で、産地が潤っている」というニュースを放送。Yahoo!のトップ記事に掲載され、ネットで大きな反響を呼びました。
桃9
「ぶらさがったブドウが一万円札に見える」という生産者の声も紹介。
桃10
モモでも、こんな景気のいい話があるのかと思いきや…

(モモ農家 高木直哉さん)
「正直難しい。一番の違いは収穫時期の短さ。モモは一発勝負。一つ熟れ始めたら1週間くらいで全部収穫しないといけない。日持ちの悪さがどうしても付きまとう」

1つの品種で1シーズン収穫できるブドウ。一方、モモの収穫時期は1~2週間程度と短く、時期の違う様々な品種を栽培する必要があります。
桃11
ブドウを先発完投型とするなら、モモは複数のピッチャーの継投策といったところ。

このため、ハウスものが4月に出荷される極早生の「はなよめ」、クリスマスやお歳暮を狙った極晩生の「冬桃がたり」など、時期をずらした新しい品種が次々投入されてきました。

(県備前広域農業普及指導センター 高橋知佐主任)
「生産者の方は色んな品種を持ち、タイミングを分けて出荷。それがリスク分散になっている」

収穫時期が短く、天候によって出来が左右されやすいため、栽培が難しい白桃。収益性を高めるために。モモ農家の高木さんはこう考えます。

(モモ農家 高木直哉さん)
「いいものを沢山作れる技術のある農家は儲かる。モモのおいしさを、国内だけでなく海外にも評価してもらえるような施策が必要」

岡山の白桃をもっと知ってもらおうと、高木さんたち生産者は、飲食店とコラボしたスイーツも企画しました。
桃12
ぶどうのようなバブルが白桃にも来るのか…?一つのカギが輸出です。
桃13
岡山県のぶどうの輸出額は10億円。一方モモはわずか5000万円で、20分の1しかありません(岡山県調べ)。

傷みやすいなどのハンディはありますが、高値で売れる海外展開など、「モモにはまだまだ販路開拓の余地アリ」と言えます。