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2022.11.24

「解剖は重大な人権侵害だった」と明記 ハンセン病療養所・邑久光明園の解剖録【岡山・瀬戸内市】

瀬戸内市の国立ハンセン病療養所、邑久光明園で見つかった入所者の解剖録から解剖の実態を調べていた人権擁護委員会は、解剖は隔離政策のもとで行われた重大な人権侵害だったと結論付けました。

(人権擁護委員会 近藤 剛委員長)
「長年に渡る病理解剖や 臓器保存は、重大な人権侵害だった」

邑久光明園の人権擁護委員会が最終報告書をまとめ、11月24日会見を開きました。

報告書では、ハンセン病の治療法が確立された1950年以降も、亡くなった入所者の遺体の多くが解剖されたことについて、医学の発展のために必要だったとは言えないと指摘しています。

そして、誤った国の隔離政策のもと、解剖が常態化した状況で人権意識が低かったとして、「邑久光明園での病理解剖は、隔離政策のもとで行われた重大な人権侵害だった」と明記されました。

邑久光明園では2020年、入所者1123人の解剖録が見つかり、約2年かけて検証が進められていました。

委員会によりますと、解剖されたのは亡くなった入所者の約7割にあたり、遺族などの承諾が確認されたのは164件で、入所者自身による解剖願いが確認されたのは、7件だったということです。

(邑久光明園入所者自治会 屋 猛司会長)
「解剖は初めから人権侵害と分かっていた。それを証明するために、人権擁護委員会が関わった」

(邑久光明園 青木美憲園長)
「施設を預かる者として、亡くなった入所者には深くおわび申し上げたい」

人権擁護委員会は国などに報告書を提出し、他の全国の療養所でも解剖について検証するよう提言することにしています。