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2022.01.05

「ブルトレ遍路宿」今春開業へ もう一度命を吹き込む“勝負の年”【香川・観音寺市】

往年の寝台特急、ブルートレインを遍路宿に生まれ変わらせる計画は、2022年、勝負の年を迎えています。

(岸井正樹さん)
「朝起きて、(席を倒して座る)こんな感じで車窓を眺めて。最高よね」
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窓の外に広がる、瀬戸内海。
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昭和から平成を駆け抜けた列車の窓は、これまでに様々な街や人の風景を映し出してきました。

(岸井正樹さん)
「まず乗ったら、座席に座って、缶ピール ポン。同席の人に声をかけて、「どこからですか」「どこまでですか」と。一杯飲みながら」
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観音寺市の雲辺寺ロープウェイ駐車場にたたずむ2両の客車。
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かつて、関西と九州を結ぶ寝台列車として活躍したブルートレインです。
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2008年の引退後、鹿児島で野ざらしとなっていたこの客車を、ふるさと香川で遍路宿として再生させようとしているのが、善通寺市にあるうどん店の店主、岸井正樹さんです。
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2020年から始めた2回のクラウドファンディングで、費用約1700万円を集め、2021年4月、香川までの約600キロを4日かけて移送させました。
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(岸井正樹さん)
「夢の夢を続けてやってきた。自分でもできるのかなと思ったけど、本当に頑張りました」
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梅雨明けからは、車体の表面を塗り直す作業が始まりました。くすんでいた表面は、つややかで鮮やかな青へ。ひびが入っていた窓ガラスも、新しいものに交換しました。

こうして順調に始まったかのように見えた修復作業でしたが、長年放置されていた車体には、岸井さんの想定以上の深刻な問題が起きていました。

(岸井正樹さん)
「エアコンカバーから腐食して雨漏りがある。雨水が伝わってきて、蛍光灯の基盤がさびたり、天井もこんな感じ」
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開業までに乗り越えなければならない課題は、他にも山積みです。

(大野樹記者)
「宿を開業させるためには、車体を雨風から守るための屋根と、スムーズに中に入るための高さ1.2メートルほどのプラットフォームが必要になります」
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今後の改修工事に必要な追加費用は、合計約2000万円。そのうち1300万円は、金融機関から融資を受ける予定ですが、残りの700万円については自分の貯金などで賄うしかない状態です。
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(岸井正樹さん)
「(不足したのは)まずは車両を保存するための費用を優先したから。(生活費はどうしてる?)貯金と、国の補助金」

岸井さんが経営する善通寺市の岸井うどん。
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書き入れ時には1日に500人が訪れる讃岐うどんの人気店でしたが、2020年から店を一時休業し、
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岸井さんは、ここでブルートレインのプロジェクトに専念してきました。

現在は、屋根の修復費用を少しでも安く抑えるため、見積書を片手に業者と交渉中です。

(岸井正樹さん)
「値段が高い…経費がかかりすぎ。でもいかに安くやってもらうかというのも僕の役目。安くてかっこいいやつ、見た目の良いやつを作らないといけない。」
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「難しいけど頑張ります」

そんな状況を少しでも助けようと立ち上がったのが、岸井さんと同じ、香川県内の鉄道ファンです。

丸亀市の遊園地でアトラクションのメンテナンスの仕事をしている井澤孝文さんは、ボランティアで車体の照明などの修理を引き受けました。
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(井澤孝文さん)
「照明も一度全部外して、中の安定器も外して、配線をLEDに切り替えて元に戻した」

この日は回路の工事が終わり、試験点灯して照明が正しく付くかを確かめました。

(スイッチON)
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(夜の線路を走ったあの頃の姿が蘇る)
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(岸井正樹さん)
「最高。ブラボーですね。なんかよみがえったよう。色んな壁に当たったが、1つ1つクリアしていってる。必ず自分の思った形にしようと決めている。頑張ります」
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(井澤孝文さん)
「まだスタートラインと僕の中では思っている。まだまだ蘇らせて、生きているものにしていきたい。「1分の1の模型」を素晴らしいものにしていきたい」
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西から東へ、夜から朝へ駆け抜けたブルートレイン。2022年春の開業を目指す岸井さんにとって2022年は、この列車にもう一度命を吹き込むための勝負の年です。
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(岸井正樹さん)
「まず開業。一刻も早い開業を目指す年に。列車の周りをどんどん魅力のあるようにドレスアップしていかないと。皆さんと約束したことが守れずに、お叱りを受けることになりますから。」
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「1つ1つ進めていく年になるだろう」

岸井さんたちによって、よみがえりつつあるブルートレイン。
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往年の寝台列車は令和の時代を迎えて、なお新たな乗客を待ち続けています。