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「泣いてばかりはいられない」災害公営住宅入居1カ月 新生活を始めた被災者の”今“【岡山・倉敷市】

2021.05.06

「泣いてばかりはいられない」災害公営住宅入居1カ月 新生活を始めた被災者の”今“【岡山・倉敷市】

西日本豪雨の被災地倉敷市真備町に完成した災害公営住宅の入居が始まり、1カ月が過ぎました。念願の真備町に戻り、新しい生活をスタートさせた被災者の「今」を取材しました。

(吉永紀子さん)
「ここら辺にはいちごが・・。これぐらい大きいのができたら孫の所にもっていってやろうかな。」

倉敷市真備町で暮らす吉永紀子さんです。

豪雨で被災してから2021年3月までは、町外のみなし仮設住宅から車でこの畑に通っていました。

今は毎日、日が暮れるまで畑で季節の野菜の世話をしています。

(吉永紀子さん)
「野菜が大きくなるのが楽しみで。」

吉永さんは、この春、川辺地区に完成した災害公営住宅に入居しました。

(吉永紀子さん)
「きれいなところで本当に幸せ。真備町がいい。住み慣れた所がいいと。」

まだ、家具も照明器具も無い部屋でしたが…

(吉永紀子さん)
「電子レンジの台とか、これとこれが届いて助かりました。」

新しい食器棚やたくさんの家具が運び込まれていました。

(吉永紀子さん)
「カーテンも頂き物で、全部頂き物、感謝してます。」

台所には、丹精込めて育てた野菜が並びます。

(吉永紀子さん)
「煮物をしようかと、じゃがいももこんなでっかいのができていた、ジャガイモと人参と玉ねぎと・・。」

吉永さんは、40年以上暮らしたこの町で、再び日常を取り戻したように見えました。しかし。

(吉永紀子さん)
「今でも思い出すと泣けてきます。それと2階の窓から脱出してボートで出た時のボートを見ると…。いつか御礼を言わなきゃいけないかなと訪ねたい。」

あの日の恐怖は頭の中から離れることはありません。

新しいスタートを切って1カ月。今は、嫁いだ娘や孫たちが訪ねてくることや、近所の人達に育てた野菜を食べてもらうのが楽しみだといいます。

(吉永紀子さん)
「(近所の)奥さんがいつも喜んでくれるんです、うれしくてね。」

西日本豪雨からまもなく3年、真備町は復興に向かっています。吉永さんも、つらい記憶を乗り越え、少しずつ前を向いて歩きだしています。

(吉永紀子さん)
「泣いてばっかりはいられないと思って。」