OHK 8Ch

  • LINE友だち追加

2024.03.01

ハンセン病療養所で86年間暮らした女性の厳しくも瑞々しい日常を映画で記録 公開を前に主人公は【岡山】

3月、瀬戸内市の国立ハンセン病療養所長島愛生園を舞台にしたドキュメンタリー映画が公開を迎えます。主人公は10歳で入所し80年以上、園で暮らした90代の女性。厳しくも瑞々しい日常が記録されています。

(ハンセン病元患者 宮崎かづゑさん)
「「かわいそう」「見たくない」は自然で当たり前の感情。私もこういう病気でなければ逃げると思う。嫌がると思う。ただ、そういう人に私は嫌な感情をもつことはない」

美作市出身でハンセン病の元患者、宮崎かづゑさん(96)。10歳から現在まで86年間、長島愛生園で暮らしています。3月に公開されるのはかづゑさんを主人公にしたドキュメンタリー映画で、タイトルは「かづゑ的」。

(ハンセン病元患者 宮崎かづゑさん)
「愛生園の素晴らしさ、皆さんが思っていることと実際は大きく食い違っている」

病気の影響で手の指や足を切断し、視力もほとんど残っていないかづゑさん。映画には、園で出会った夫や親友と暮らした瑞々しい日々が記録されています。

(試写会に参加した園の元職員は…)
「私はここの元職員で宮崎かづゑさんをよく知っているが、本当にかづゑさんらしい、強く生きる」

2016年から8年間、かづゑさんを撮り続けてきたのは熊谷博子監督です。

(熊谷博子監督)
「私のイメージだが、ハンセン病の元患者はいかに自分が差別を受けてひどい目にあったか、抗議をするところから始まると思った。お会いしたらかづゑさんと(夫の)孝行さんがいて2人の関係がすてきだった。私たちがイメージしているハンセン病の元患者の世界と違うのでは、記録しなくてはまずいと」

壮絶な差別やいじめにより強いられた厳しい人生。しかし、かづゑさんはこの場所でたくましく、愛情深く、幸せな日々を過ごしてきたと語ります。

(ハンセン病元患者 宮崎かづゑさん)
「手足が悪い上に目が見えない、それでいて人間は素晴らしい。楽しかった、うれしかった。これをいっぱい花束のように胸に抱いて納骨堂に参ります」

映画「かづゑ的」は3月2日、東京で公開されるのを皮切りに岡山市のシネマ・クレールなど全国で順次公開されます。