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2023.12.28

家族が介護疲れを起こす前に利用してほしい「レスパイト入院」難病ALSの男性も妻のために決断【岡山】

2023年は、介護する相手を手にかけてしまういわゆる「介護殺人」の事件や裁判もありました。原因の一つは介護者が抱える孤独や不安、その解消を目指す事業の現状を取材しました。

2023年8月、玉野市で寝たきり状態だった52歳の息子の首を絞めて殺害したとして、80歳の母親が逮捕・起訴されました。

10月には、重い障害がある8歳の息子の首を絞めて殺害したとして、殺人の罪に問われていた37歳の母親に懲役7年の実刑判決が下されました。

「息子を殺して、私も死のうと思った」
「子供を殺して自分も死ぬつもりでした」

2人は殺害後、自らも死を選択することを決めていました。

(シルバーライフかなおか 片岡尚子さん)
「自分だけのストレスではなく、家族関係の介護に対する温度差によるストレスを相談する人が多い。もんもんとした気持ちの整理がつかない日々があるのでは」
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介護サービスに携わるシルバーライフかなおかの片岡さんです。1人で悩みを抱えながら介護を続けている人が多いといいます。

全身の筋肉が次第に動かなくなる難病ALSの夫を介護する女性もその悩みに理解を示します。
レスパイト入院02
(難病の夫を介護する女性は)
「(介護を)1人でやっているというのが 大きくなって孤独を感じる。孤独との闘い。個々の生活があるので頼りにくかったりする」
レスパイト入院03
(中塚美緒アナウンサー)
「そのような介護者の不安や孤独を解消するため、介護者に少しでも休息、息抜きをしてもらおうという制度も整えられています。そのうちの一つが「レスパイト入院」。医療的ケアを必要とする在宅療養の患者が一時的に入院する制度です」
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岡山県などは介護者の休息などを理由に在宅療養の難病患者が一時的に入院できる「レスパイト入院」を進めていて、女性の夫も12月、1週間の入院を決めました。
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(難病ALSの夫は)
「家の人の時間が足りないから、時間を作るため」
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食事や排泄など日常生活のほとんどを1人でできなくなった男性。自宅の方が落ち着くとしながらも介護している家族の負担を考えた選択だといいます。
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(水島協同病院 医療福祉相談室 森田千賀子室長)
「在宅ケアをしている介護者の負担を軽減すること。なるべく家でしていたことを、病院でも限られた期間で継続できるように」
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県によりますと2023年、レスパイト入院を利用した人の数は23人と依然、少ないのが現状で、片岡さんは、こうしたサービスを利用するなどして周りの人に頼ることも大切だといいます。
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(シルバーライフかなおか 片岡尚子さん)
「本当に、どこに助けを求めようとなると思う。介護疲れを起こしやすい人は、本当に真面目に取り組みすぎる人だと思うので、自分をさらけ出してなんでも相談してほしい」レスパイト入院14