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世界初!岡山理科大などのグループが好適環境水を使った「ベニザケ」の陸上養殖に成功【岡山】

2023.07.27

世界初!岡山理科大などのグループが好適環境水を使った「ベニザケ」の陸上養殖に成功【岡山】

岡山理科大学などの研究グループが好適環境水と呼ばれる特殊な水を使って、「ベニザケ」の陸上養殖に成功しました。事業規模での養殖は世界初だということです。

7月21日、福島市のスーパーに並んだ刺身や切り身。

(買い物客は…)
「色が淡いかなと。食べるのが楽しみ」

このベニザケは、岡山理科大学が開発した淡水でも海水でもない「好適環境水」を使って育てられました。

病気に弱く、成長が遅いため養殖が難しいとされていた「ベニザケ」。岡山理科大学は2022年1月から福島市に本社を置くスーパーマーケット「いちい」やNTT東日本と協力しベニザケの養殖プロジェクトを始めました。

(いちい 伊藤信弘社長)
「福島は震災後、魚はデリケートな扱いになっている。昨今の環境の問題、燃料代、円安の影響で魚が集めづらく、もしかして将来的に自分たちで魚を作らなきゃいけないかもという中で魚屋が頑張ってやってみたいと」

好適環境水を開発した岡山理科大学の山本俊政准教授らは、福島市にある養殖場にNTTの技術を使った水質センサーなどを設置。生育状況などをオンラインで確認しながら遠隔で指導を続けてきました。

(岡山理科大学 山本俊政准教授)
「現場で働く人が全くの素人。ICTがサポートしていく初めてのパターンで、大きなトラブルもなくここまでこれたのはうれしい。今後岡山で生まれた技術を全国に展開していくのは重要なことと思っている」

通常、出荷可能になるまで4年ほどかかるベニザケ。今回の実証実験では1年半で成魚に成長させることができました。

(試食した買い物客は…)
「くせがなくて脂がのっておいしい」

(岡山理科大学 山本俊正准教授)
「人間がコントロールできないような自然現象に対して、今までのやり方は通用しない時代に突入したと思う。内陸部で安定的に生産するということが世界的に問われていると思う」

今後は、廃校を養殖場にするなどして増産を図るとともに価格や出荷のタイミングを探り本格的な事業化を目指すプロジェクト。世界の漁業を変えるかもしれない取り組みが、着実に前進しています。