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2023.05.25

1本の電話から数百万円が奪われる「特殊詐欺」 その手口を学ぶ新システムが誕生【香川】

対面することなく金をだまし取られる「特殊詐欺」。1本の電話から数百万円が奪われることもあります。手口は年々巧妙化していて、岡山・香川でも被害があとを絶ちません。

2023年に香川県内で起きた特殊詐欺の被害件数は、4月末時点で件数、被害額ともに前年の2倍以上に増えています。内訳をみると、架空料金請求詐欺や預貯金詐欺などの被害が大きく増えていることが分かります。

では、詐欺師たちはどのような手口で私たちをだましてくるのか。三豊市に住む70代の女性が経験したケースから見ていきます。

女性のもとに電話がかかってきたのは22年8月。不動産会社を名乗る男からでした。

「高齢者施設の入居権が当選した」という内容で、女性は「応募した覚えがない」と答えました。すると男は、「必要なければ、他の人に権利を譲りたいので名義を貸してほしい」と持ちかけます。

女性は誰かの役に立つならと、名義を貸すことを許可しました。すると、今度は別の男から名義貸しは違法だと指摘する電話が。

(実際の電話)
「名義の貸し借りということになってしまっていると思うんですよ」
「名義貸し?」
「名前を貸したとか貸してないとか」
「どうにかキャンセルにはしてくれんの」
「そのキャンセルをするために、(女性氏名)の銀行口座にお返しをしないと、キャンセルの処理がとれない」

電話を続けていくと、男は、強い口調で次のように問い詰めてきます。

(実際の電話)
「逮捕されて収監されることになってもいいんですね。そうなりますよってお話したじゃないですか」
「逮捕されて収監…」

女性はこの後、電話の内容を不審に思い警察に相談したため、お金をだまし取られずに済みました。疑いの気持ちを持てるかどうかで、被害に遭うかどうか紙一重と言えそうです。

こうした中、香川県警は特殊詐欺の被害を疑似体験できるシステムを制作しました。

(中村香月記者)
「還付金詐欺に名義貸しトラブル。香川県警が新しく導入したシステムでは、特殊詐欺の実際の手口に触れることができます」

香川県警が香川大学と協力して制作したシステムです。架空料金請求詐欺や預貯金詐欺など、6つの特殊詐欺について、自分で行動を選択しながら詐欺の手口を学ぶことができます。

【疑似体験すると…】
「(警告音が鳴って)だまされてしまいました。これは、サポート詐欺という、架空料金請求詐欺の手口です」

(香川県警生活安全企画課 来田寛調査官)
「被害に遭うことはあらかじめ分からない。突然電話がかってきたり、パソコンの画面が変わったり突然のことなので、実際に特殊詐欺に遭遇した時に『これは詐欺だ』と見破るためには、具体的な手口の内容を知っていないと、見破ることができない」

県警が、実際に特殊詐欺の被害に遭った人を対象に行った調査では、「自分は被害に遭わない」「考えたこともない」と回答した人が全体の90%を上回っています。また、詐欺の手口に関して、「内容を知らない」と答えた人は、全体の85%でした。

システムは6月中に県内の警察署に導入される予定です。