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2022.07.21

部活動の“地域移行”とは?モデル校に密着すると課題も見えてきた【岡山】

公立中学校の部活動を地域のスポーツクラブなどに委ねる「地域移行」が動き出しています。教員の負担軽減を目指す取組。すでに移行が始まっている赤磐市のモデル校を取材すると、財源の確保など、課題も見えてきました。

(生徒のあいさつ)
「おはようございます」

土曜日の朝、中学生が練習場に集まってきました。

(ホッケーの様子)
赤磐市立磐梨中学校のホッケー部。「部活動の地域移行」のモデル校に認定され、すでに試験的な移行が始まっています。

(地域指導者の指導)
「きのうも言ったけど、ダラダラしていたら成長しない。強いパス、しっかり走って全力でプレーしてください」

指導するのは顧問の教員…ではなく、「地域指導者」と呼ばれる地域の住民です。

(地域指導者 相浦良人さん)
「普段は会社員です」

この日は3人の地域指導者が練習を見ていて、中には国内トップリーグの現役選手もいます。

(指導の様子)
「来るボールに対して振ってしまうと、タイミングを合わせるのが難しいので 置くように」

(生徒は…)
「ポジションの動き方や技がどうやったら上手くなるか教わっている。自分が分からない時に、すぐ教えてもらえるので良い環境」

(地域指導者 山本海斗さん 現役トップリーグ選手)
「先生とは違う立場で気軽に話ができる。楽しくやらせてもらっている」

国が進める「部活動の地域移行」は、公立中学校の部活動を学校から地域のスポーツクラブなどに段階的に委ねていくものです。2025年度までに休日を、その後、平日についても徐々に移行する方針を示しています。

その背景にあるのが「教員の働き方改革」。岡山県教委が2021年行った勤務実態調査では、中学校教員の時間外勤務は1ヵ月あたり67.4時間で、このうち休日の部活動は約2割に当たる13時間でした。

(野球部顧問 高本裕司教務主任)
「突き詰めたらどんどん時間が過ぎていく。自分の中で時間を決めてやろうとしているが、延びることもある」

教員の負担軽減へ期待が高まりますが、地域移行に向けては課題もあります。

その1つが財源。磐梨中学校はモデル校としての国からの補助金を使い、地域指導者に1時間当たり1000円の報酬を支払っていますが、その補助金は半年で底をつく計算です。

また、地域によっては指導者の確保が難しいことも予想されるなど、解決すべき課題は山積しています。

(地域指導者 相浦良人さん)
「制度がしっかり決まっている訳ではない。これから良い方向に向かってくれれば良いが、問題点もあるので 一つ一つクリアしていくことが大事」

日本のスポーツを支えてきた部活動。歴史的な転換に現場は手探りの状況が続きますが、何より大事なのは、子供たちが安心して部活動に打ち込める環境づくりです。

(磐梨中学校 出射 実校長)
「今まで学校は閉鎖的な所だったが、どんどんつながっていって、地域の人と関わる場面が増えた。それが教育には良い効果を出すのでは。子供たちは地域の宝なので、地域の人と一緒に育てていきたい」