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2023.03.15

監督から叱責を受け自殺…県教委が再発防止策の方向性公表 生徒の遺族「通過点にすぎない」【岡山】

2012年、岡山市の岡山操山高校で、当時、野球部のマネージャーだった男子生徒が監督から叱責を受けた後、自殺した問題で、生徒の死から11年を迎えようとする中、岡山県教育委員会が検討していた再発防止策の方向性が、3月15日、ようやく公表されました。

岡山県教委が15日公表した、自殺に関する再発防止策の方向性。この中では、再発防止に向けた教員向けの体罰防止ハンドブックを全面的に改訂することや、より厳しい懲戒処分の指針を策定するとしています。

また、生徒の遺族の強い要望を受け、生徒や保護者が不適切な指導に気付けるよう、視覚的に分かりやすく学べる教育ビデオを作成し、毎年、生徒や保護者が見る機会を設けることも盛り込まれました。

11年前の7月、岡山操山高校で野球部のマネージャーをしていた当時2年の男子生徒が、監督からの激しい叱責を受けたあと自殺しました。教員の行き過ぎた指導で生徒が自殺に追い込まれる、いわゆる「指導死」でした。

(男子生徒の遺族)
「先生の言う事をよく聞く真面目な子だった、ということが結果的にあだとなってしまった」

県教委は当初、監督の叱責と自殺との因果関係は、不明としていました。その後、遺族の要望で第三者委員会が立ち上がったのは、生徒の自殺から6年後。監督の言動が原因と結論付けた報告書がまとまったのは、9年後の2021年でした。

こうした初動対応遅れや調査体制の問題を踏まえ、遺族は、第三者による早期の検証を強く求めていました。

今回の再発防止策の方向性では、この遺族の要望を受け、事案発生後、早期に外部の有識者がより詳しく調査することなどを盛り込んだ、原因調査の基本方針を策定することも示されました。

(岡山県教育委員会 鍵本芳明教育長)
「遺族の意見を頂戴しながら修正をかけ、やっと取りまとまった。このような事柄が二度と起こらないよう、学校現場と協力しながら徹底していきたい」

11年の歳月を経て、ようやくまとまった再発防止策の方向性。遺族は、これ以上、「指導死」が繰り返されないことを願っています。

(男子生徒の遺族)
「未だに方向性だけが取りまとめられた通過点に過ぎない。本当は早く遺族としてしてほしい。再発防止実施に向けた動きは非常に遅い。大きな問題は引き続き残っている。安心して息子を学校に預けられる『当たり前の環境』を作ってほしいと思う」

県教委は今後、今回の方向性をもとに数カ月以内に再発防止の具体策を策定することにしています。