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2023.09.22

岡山市で進む“都心回帰” マンション建設相次ぐ一方、課題も…杜の街グレース1年【岡山】

岡山市の複合商業施設、杜の街グレースのグランドオープンから9月23日で1年を迎えます。近年、再開発が相次ぎ変貌を続ける市中心部。その背景を取材しました。

ランチタイムになると、にぎわうフードコート。22日の杜の街グレースです。特別メニューや催しで、23日のオープン1年を盛り上げます。かつてあったイトーヨーカドーの跡地を大規模に再開発して誕生したこの施設。1日1万人が行き交う岡山市役所周辺エリアの拠点施設となっています。

(岡山大学大学院 中村良平特任教授)
「いろんな種類の施設がありますので、色んな人が訪れることができ、周りに対して、集客の効果を底上げしているんじゃないかと思います。杜の街だけでなく、ハレノワもちょっと離れているが最近オープンし、人の流れをかなり変えるんじゃないかな。数年前にイオンができ、岡山一番街からイオンへ人の流れができ、さらにそれが上手に機能すれば、杜の街、ハレノワまで新しい動線ができると期待できます」

杜の街から東へ約1キロの場所に9月にグランドオープンしたハレノワ。老朽化した市民会館に代わる施設として建設され、大中小3つの劇場を備えています。

(まちの人は…)
「近くにこういう大きい施設ができるのはすごくうれしい」
「人流が増えることで商店街の活性化につながると思うので、非常にうれしい」

隣には地上20階建てのマンションも整備されました。

(岡山大学大学院 中村良平特任教授)
「今まで駐車場になっていたようなところが、土地の値段価値が高まり、マンションや商業施設に作り替え、十分高収益が見込めるようになってきた。バブル崩壊後はその需要が低迷し、駐車場の方が安定した収入ということだったが、今、土地を利用する価値が高まってきていて、特に岡山市の中心部は土地の利用価値が上がってきている。全国の県庁所在地の中でも上位に位置するところでは」

9月に県が発表した地価調査の結果では、岡山駅前や市役所近くなど、再開発が行われたエリアが上昇率1位、2位でした。そして…。

(新田俊介記者)
「今年(2023年)特に目立ったのが、表町商店街です。実に15年ぶりに地価が上昇しました」

不動産鑑定士が挙げた理由は、ハレノワなど周辺の再開発。岡山ロッツの跡地で進むマンションの建設など、人流回復への期待感などが背景にあるといいます。

(岡山大学大学院 中村良平特任教授)
「若い商店主が増え、新しい感性とハレノワ周辺の整備も相まり、盛り上がろうとしているところはある。そうは言っても。実際その動線、人の流れがどうなるかということと、商店街がどれだけ物が売れるかというのが完全に別問題ですので、商店街として、ハレノワ開業を契機に新しい取り組みをやっていかないといけないと思う」

岡山市中心部では、現在も複数の場所で再開発の計画が進んでいて、今後も街の姿は大きく変わりそうです。

(三竿雅義記者)
「活性化していく岡山市の中心市街地。いいことばかりのように聞こえるかもしれませんが、中心部へ人が移り住むということは郊外に空き家が増えるということでもあります。今後、民間の不動産業者だけでなく、行政も巻き込み、都市部と郊外。その両方の役割やあり方などを考え、大きな枠組みでの街づくりが必要となります」