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2024.04.04

創業約140年「林原」から「ナガセヴィータ」に…“トレハロース”を受け継ぐ老舗企業の第二章【岡山市】

老舗企業の新たなスタートです。創業約140年を誇る岡山市のバイオ関連企業・林原が4月、社名を変更しました。長年親しまれた屋号を変えた背景、そして、新たな社名と共に描く未来とは。
ナガセヴィータ02 (ナガセヴィータ 安場直樹社長)
「林原からナガセヴィータに社名が変更になった。記念すべき日に新入社員を迎えて、本当にうれしい」

真っ新なスーツに身を包んだ新入社員。彼らが入社するのはナガセヴィータ。3月まで「林原」として岡山で抜群の知名度を誇っていた会社です。ナガセヴィータ01
(戸田奈沙記者)
「岡山市中区の工場ではいま、林原と書かれた大きな看板を撤去しています」

3月までに旧社名が表記された約40個の看板は全て撤去され、創業から約140年続いた「林原」という社名は姿を消しました。
ナガセヴィータ03
(ナガセヴィータ 安場直樹社長)
「正直言うと非常に大きな決断。林原という名前に、特に岡山の人は親近感を抱いていただいていた」
ナガセヴィータ042023年8月、全社員立ち会いのもと開かれた社名変更の記者会見。当初は林原という名前がなくなることに社員から困惑の声も上がったといいます。
ナガセヴィータ05(ナガセヴィータ コミュニケーションデザイン部 宗友洋子部長)
「最初はすごく戸惑っていた。特に社歴の長い社員は(旧社名に)愛着もあったと思う」
ナガセヴィータ06そこで全社員参加型で新社名を決めることに。

(ナガセヴィータ コミュニケーションデザイン部 宗友洋子部長)
「社員とワークショップを何度かして、重要なフレーズが出てきた。それを踏まえた社名にしようと」

新社名は、ナガセヴィータ。「生命・暮らし」を表すラテン語のVitaに「i」をひとつ加えた造語で、並んだ「i」は人々と力を合わせる共生のシンボルです。
ナガセヴィータ08明治時代に水あめの製造で財を成した、旧・林原。
ナガセヴィータ09豊富な資産を元手に多くの製品を生み出し、現在イオンモール岡山がある駅前の一等地に約5万平方メートルの土地を所有するなど、岡山を代表する企業に成長しました。
ナガセヴィータ10しかし…。

(林原健社長(当時))
「本当に申し訳ございませんでした」

財務内容を偽っていたことがわかり、1400億円の負債を抱えて経営破綻。創業家が退陣し、大阪の化学品専門商社、「長瀬産業」の子会社となりました。
ナガセヴィータ11今回の社名変更は、グループ内のバイオ事業を強化する方針を受けたものです。旧・林原が世界的な企業となったきっかけのひとつが天然由来の糖質「トレハロース」の量産化の成功です。
ナガセヴィータ121995年、そのために必要な酵素を発見したのが、当時入社3年目の研究員・丸田和彦さんでした。
ナガセヴィータ13(ナガセヴィータ事業戦略部 丸田和彦博士)
「酵素が見つかった時は誰も信じなかった。先輩の研究員に「ちゃんとデータは確認したのか」と疑われた」
ナガセヴィータ14全国から採取した約2000種類の土を調べ、約3カ月かけてトレハロースを生成する酵素にたどりつきました。

(ナガセヴィータ事業戦略部 丸田和彦博士)
「今、トレハロースは弊社の食品の柱の商品なのでありがたい。酵素を見つけた時は、ここまで大きい商品になると思っていなかった」
ナガセヴィータ15現在、トレハロースは保存強化の目的で文化財にしみ込ませて使われるなど、食品以外にも活躍の場を広げています。
ナガセヴィータ16
(ナガセヴィータ 安場直樹社長)
「(旧・林原は)140年の長い歴史をもっている。ここをリスペクト、尊重していきたい。バトンを渡す次の社員のことを思いながらよりよい世界・社会を作り上げていく。多様性を受け入れながら作り上げていく会社にしたい」
ナガセヴィータ17
世界的ニーズが高まっているバイオ原料。林原のノウハウを引き継いだナガセヴィータは今後どう飛躍するのか?エリアの老舗企業の第二章が始まります。
ナガセヴィータ18