2024.01.24
県立高校入試が変わる 定員割れ続く伝統校が「学区撤廃」へ 人気は街中に集中【急上昇ニュース岡山】
今関心の高い話題を詳しく解説する「急上昇ニュース」です。受験シーズン真っただ中。今回のテーマは「変わる岡山の県立高校入試」です。担当は堀さんです。
少子化の影響が今、高校入試にも現れています。伝統校、名門校といわれる高校でも、定員割れが相次ぐ中、2024年春、6つの高校が打ち出したのが、「学区の撤廃」です。
学区制度は住んでいる場所によって通学する高校を指定するものです。岡山県には6つの学区があります。これまで比較的新しい岡山城東や総社南など一部の高校が、学区にとらわれずに受験できるいわゆる全県学区でした。
この全県学区に、高梁や新見、林野など6校の普通科が新たに加わりました。いずれも100年以上の歴史を持つ伝統校です。そこにはどんな狙いがあるのか?現場を取材しました。
岡山県の中西部にある高梁市。高梁高校は創立143年目の伝統校です。第1回芥川賞作家の石川達三など、数々の人材を輩出してきた名門ですが、ここ3年は定員割れが続いています。
高梁高校は備北学区で、高梁市と新見市、真庭市の一部がエリアです。全県学区にすることで距離の近い総社市北部などからも生徒を集めたいといいます。
(高梁高校 西村能昌教頭)
「本校の魅力を幅広く知ってもらって、出来れば南下するのではなく、北上する中学生の皆さんが増えてきたらいいなと。どこにも負けない教育をしている自信はありますので」
パンフレットも新たに作りました。そこでは、国公立大学の合格率52%という高い進学実績もアピールしています。遠方の生徒の受け入れ体制を整えるため、老朽化が進んでいる寮のリフォームも検討しています。
県立普通科高校の2023年春の一般入試の倍率は、岡山市と倉敷市中心部の高校では1倍を超えたものの、玉野・笠岡・高梁など地域の拠点校でさえも定員割れとなりました。
学習塾で話を聞くと、街中の高校に人気が集まっていることが背景にあるといいます。
(能開センター岡山校責任者 八田宜弘さん)
「以前は岡山市の子じゃないと受けられなかったのが市町村合併などで遠方の子でも受ける事ができるようになった。子供たちの選択肢が増えた事によって街中の人気がある高校に行った方が大学に行きやすいという事で、人気が高まってきた。一方で地方の普通科の人気が下がってきたのが原因では」
さらに少子化が追い打ちをかけます。中学生の数はこの30年で半分近くに減り、学区の中だけでは、定員を維持できない高校が増えているのです。
こうした状況から県教委は2023年3月、一定の条件を満たした高校に、全県学区変更を認めました。
(岡山県教委高校魅力化推進室 小野敏靖副参事)
「都市部への生徒の流れをできるだけ周辺校に、都市部から中山間地域に生徒の流れを持っていきたい」
これに手を挙げたのが、高梁・新見・邑久・林野・和気閑谷・矢掛の6校でした。
岡山県南西部の矢掛町。矢掛高校は創立120年を超える伝統校です。しかし少子化の影響は深刻で、10年あまり定員割れが続き、2023年春の普通科の倍率は0.52倍でした。
(矢掛高校 高月秀人校長)
「元々子供の数が減っている、プラス外にも出やすくなった。そうなると外の空気も吸ってみたい生徒は出て行くようになる」
定員割れに拍車をかけたのは、皮肉にも交通網の整備でした。井原線の誕生で総社や倉敷に行きやすくなり、流出が進みました。今回学区を撤廃し、全県学区にすることで、生徒の流出ではなく、流入を増やそうという狙いがあります。
矢掛高校は、地域について学ぶ「やかげ学」に力を入れています。ここでしか学べない魅力をアピールすることが地域の活性化につながると、高校OBでもある高月校長は力を込めます。
(矢掛高校 高月秀人校長)
「地域が痩せていくと高校も当然痩せていく。でも高校が元気になれば、地域も元気になる。今の生徒は我々が持っている以上に多様な学びを必要としていると思う」
岡山の県立高校では、従来の推薦入試に相当する特別入試の願書受付が始まりました。今回の制度改革では、この特別入試の枠も広がっています。受験機会が増えるとともに、高校の狙いにあった生徒獲得にも繋がるということです。
入試制度の改革から県立高校も今のままではいけない、という危機感を感じました。以上、急上昇ニュースでした。
少子化の影響が今、高校入試にも現れています。伝統校、名門校といわれる高校でも、定員割れが相次ぐ中、2024年春、6つの高校が打ち出したのが、「学区の撤廃」です。
学区制度は住んでいる場所によって通学する高校を指定するものです。岡山県には6つの学区があります。これまで比較的新しい岡山城東や総社南など一部の高校が、学区にとらわれずに受験できるいわゆる全県学区でした。
この全県学区に、高梁や新見、林野など6校の普通科が新たに加わりました。いずれも100年以上の歴史を持つ伝統校です。そこにはどんな狙いがあるのか?現場を取材しました。
岡山県の中西部にある高梁市。高梁高校は創立143年目の伝統校です。第1回芥川賞作家の石川達三など、数々の人材を輩出してきた名門ですが、ここ3年は定員割れが続いています。
高梁高校は備北学区で、高梁市と新見市、真庭市の一部がエリアです。全県学区にすることで距離の近い総社市北部などからも生徒を集めたいといいます。
(高梁高校 西村能昌教頭)
「本校の魅力を幅広く知ってもらって、出来れば南下するのではなく、北上する中学生の皆さんが増えてきたらいいなと。どこにも負けない教育をしている自信はありますので」
パンフレットも新たに作りました。そこでは、国公立大学の合格率52%という高い進学実績もアピールしています。遠方の生徒の受け入れ体制を整えるため、老朽化が進んでいる寮のリフォームも検討しています。
県立普通科高校の2023年春の一般入試の倍率は、岡山市と倉敷市中心部の高校では1倍を超えたものの、玉野・笠岡・高梁など地域の拠点校でさえも定員割れとなりました。
学習塾で話を聞くと、街中の高校に人気が集まっていることが背景にあるといいます。
(能開センター岡山校責任者 八田宜弘さん)
「以前は岡山市の子じゃないと受けられなかったのが市町村合併などで遠方の子でも受ける事ができるようになった。子供たちの選択肢が増えた事によって街中の人気がある高校に行った方が大学に行きやすいという事で、人気が高まってきた。一方で地方の普通科の人気が下がってきたのが原因では」
さらに少子化が追い打ちをかけます。中学生の数はこの30年で半分近くに減り、学区の中だけでは、定員を維持できない高校が増えているのです。
こうした状況から県教委は2023年3月、一定の条件を満たした高校に、全県学区変更を認めました。
(岡山県教委高校魅力化推進室 小野敏靖副参事)
「都市部への生徒の流れをできるだけ周辺校に、都市部から中山間地域に生徒の流れを持っていきたい」
これに手を挙げたのが、高梁・新見・邑久・林野・和気閑谷・矢掛の6校でした。
岡山県南西部の矢掛町。矢掛高校は創立120年を超える伝統校です。しかし少子化の影響は深刻で、10年あまり定員割れが続き、2023年春の普通科の倍率は0.52倍でした。
(矢掛高校 高月秀人校長)
「元々子供の数が減っている、プラス外にも出やすくなった。そうなると外の空気も吸ってみたい生徒は出て行くようになる」
定員割れに拍車をかけたのは、皮肉にも交通網の整備でした。井原線の誕生で総社や倉敷に行きやすくなり、流出が進みました。今回学区を撤廃し、全県学区にすることで、生徒の流出ではなく、流入を増やそうという狙いがあります。
矢掛高校は、地域について学ぶ「やかげ学」に力を入れています。ここでしか学べない魅力をアピールすることが地域の活性化につながると、高校OBでもある高月校長は力を込めます。
(矢掛高校 高月秀人校長)
「地域が痩せていくと高校も当然痩せていく。でも高校が元気になれば、地域も元気になる。今の生徒は我々が持っている以上に多様な学びを必要としていると思う」
岡山の県立高校では、従来の推薦入試に相当する特別入試の願書受付が始まりました。今回の制度改革では、この特別入試の枠も広がっています。受験機会が増えるとともに、高校の狙いにあった生徒獲得にも繋がるということです。
入試制度の改革から県立高校も今のままではいけない、という危機感を感じました。以上、急上昇ニュースでした。