OHK 8Ch

  • LINE友だち追加

2023.12.01

色の見え方にもバリアフリー化を…世界も注目 岡山発「色覚異常補助ソフトウェア」【手話が語る福祉】

手話が語る福祉のコーナーです。生まれつき色の見え方が異なる「色覚異常」。日本人男性の20人に1人と言われています。当事者が感じる困難、そしてそれをサポートする岡山発のソフトウェアを取材しました。

(三浦ひらくさん)
「これとこれが違うんだろうなというのは分かるが、これが何色で、これが何色かというのはちょっと分からない」

津山市の三浦ひらくさん。周りの人と色の見え方が違うことに気づいたのは、幼い頃でした。

(色覚異常がある 三浦ひらくさん)
「色が違うことは認識できるが、「これが〇〇色」と、はっきり理解できないことが多い。なんでこの色で塗るのと言われることもあった」

三浦さんのように色の区別がしにくい、またはできないことを色覚異常と言い、日本人では男性の5%、女性の0.2%と推計されています。例えば、赤と緑や淡い色同士などの区別が付きづらく、その程度や見え方は様々。ほとんどが生まれつきのもので現在の医学では治療法はありません。

(川崎医療福祉大学 視能療法学科 河本けい准教授)
「色覚異常というと色が見えないのではないかという人がいるが、そういう症状を呈する人はごくわずか。特定の色の組み合わせが見分けにくい、見分けられないというのがほとんど。生まれつき当事者にとってはその見え方が普通なので、気づかないまま成人を迎える人もいる」

多くの人は問題なく日常生活を送ることができますが、三浦さんは、時に不便を感じることがあるといいます。

(三浦ひらくさん)
「信号機が大きな問題。感知中の信号の「感知中」という文字がかなり細くて、赤い文字が見づらいものはよくある。窓を開けて確認したり、車から降りなければいけないこともある」

看板、標識、ロゴ…。まちには色で区別されているものがあふれ、色覚異常の人にとっては、支障となっているかもしれません。

そんな当事者をサポートする取り組みがあります。岡山市のシステム会社、両備システムズが開発した色覚補助ソフトウェア、「Visolve」。リリース以来、約20年にわたり無償で公開され、スマートフォンなどの端末にダウンロードして誰でも利用できます。

その機能とは。

(Visolveを開発 両備システムズ 下田雅彦さん)
「異なる色に違う模様を付ける機能。色の種類によって違う模様が出るので、区別が色以外でできるようになる」

種類別に色分けされた気象警報に模様が付きました。アメリカ国立気象局のホームぺージにも掲載されるなど海外からも評価されています。

さらに・・・

(Visolveを開発 両備システムズ 下田雅彦さん)
「こちらが、熟れ具合が異なるトマトの写真。これはトマトを色覚異常の人がどのように見えているかをシミュレーションしたもの。ソフトウェアで変換するとこうなる」

区別が難しい色の情報を明るさの情報に置き換え、それを強調することで区別できるようにします。この写真の場合、赤を明るく緑を暗くすることで、どれが熟れた赤いトマトかが分かります。

(三浦ひらくさん)
「青を選ぶと…青系統の線が2つ、出るのか緑も2つへえ。明らかに分かりやすい」

ただ、こうした機能を活用するには、自分が区別しづらい色を理解しておく必要があります。色覚異常を巡っては差別や偏見につながりかねないと、2002年まで小学生を対象に行われていた色覚検査が必須項目ではなくなりました。

(川崎医療福祉大学 視能療法学科 河本けい准教授)
「自らの色覚特性を知っておかないとツールを使いこなせない。気づくタイミングが遅れている人が多いのが危惧されるところ。今後確実に色覚に対して自分の特性を知る機会をもってほしい」

一方で、色覚についての認識はソフトウェアが開発された約20年前と比べるとかなり広がり、より多くの人が情報を認識できるよう配慮された配色の設備や製品が増えているといいます。

ソフトウェアには色覚異常の人の見え方をシミュレーションする機能もあり、色彩のバリアフリーの実現に役立てられています。

(両備システムズ 下田雅彦さん)
「少なくとも人が作る図やグラフで、我々のソフトを必要とする場面がなくなってほしいと思う。このソフトを使うのはトマトや紅葉など自然なもので色の区別が難しいとか、そういったことだけに使うような世の中になればいいと思う」

こうしたテクノロジーを活用して色への配慮が光る社会になるといいですね。