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2023.09.04

視覚に障害がある人の移動を音声で誘導するアプリ 体験した男性の感想は…【手話が語る福祉 岡山】

手話が語る福祉のコーナーです。

視覚に障害がある人の移動や情報をデジタル技術でサポートするシステムを岡山でも導入する動きが進んでいます。点字ブロックの情報を補うAI標識として注目を集めるアプリを体験してきました。

(ナビレンス音声)
「ポートライナー三宮駅方向は直進してください」
手話 ナビレンス01
「誘導ブロックがないスロープです。左の壁沿いに進んでください」

人が行き交う神戸市の地下鉄三宮駅、スマートフォンのアプリを使って目的地を目指すのは岡山市視覚障害者協会の筒井良平さんです。
手話 ナビレンス02
(ナビレンス音声)
「2メートル先 ポートライナー三宮駅方向は右折してください」
手話 ナビレンス03
目の見えない筒井さんが使っているのは周囲の状況や標識が確認できない視覚障害者を音声で誘導する「ナビレンス」というアプリ。よく見かけるQRコードとは少し違う5色の特殊なコードを読み取ると組み込まれた情報が読み上げられます。
手話 ナビレンス04
(ナビレンス音声)
「前方は東出口・JR線・ポートライナー」
手話 ナビレンス05
(生本ひなの記者)
「このアプリを使うと…(ナビレンス操作による音声)「11メートル先出口方向 改札へは真っすぐ進んでください」このように離れた位置からでも読み取れるのが1番の特徴です」
手話 ナビレンス06
このコードはピントを合わせる必要がなく斜めからでも素早く読み取ることができるため、視覚障害者でも使いやすくなっています。

(岡山市視覚障害者協会 筒井良平さん)
「ここまでちゃんと読んでくれてびっくり。知っている場所でもみどりの窓口を通り過ぎたりする。横にきたらアプリがしゃべってくれて、分かるので便利」
手話 ナビレンス07
スペインで2017年に開発され、普及が進んでいて神戸市が全国の自治体で初めて日本語版を導入、駅や医療施設など市内約200カ所に専用の2次元コードが設置されています。
手話 ナビレンス08
(日本でナビレンスの普及進める アイ・コラボレーション神戸 北山ともこ理事)
「点字ブロックでこの道が正しい事が分かっても、分岐点でどちらに行けば良いかや、たどり着いたのか分からないところを補足するアプリになっている」
手話 ナビレンス09
筒井さんは今、このアプリを岡山でも普及させようと取り組みを進めています。

(岡山市視覚障害者協会 筒井良平さん)
「点字ブロックはあると便利だが、その先に何があるか分からない。その時に音声で教えてくれるとより間違いない」

視覚障害者の移動で特に危険な場所が駅のホームです。
手話 ナビレンス10
国交省によりますと視覚障害者の転落事故は後を絶たず、2022年度は全国で53件発生し、前の年より増えています。
手話 ナビレンス11
こうした事故を防ごうと神戸市では、コードを駅のホームにも設置しました。
手話 ナビレンス12
(ナビレンス音声)
「66センチメートル先 1番線 神戸空港方面の乗降口です」

(岡山市視覚障害者協会 筒井良平さん)
「初めての場所だと自分がどっちに向いているか、どこにいるのかもさっぱりわからなくなる。障害物の情報や目的地以外の周りの情報が分かれば立ち寄れたりする。豊かな生活につながるのかなと思う」
手話 ナビレンス13
また、点字ブロックが少ない屋内の施設も普段の生活で不便を感じる場所の1つです。
手話 ナビレンス14
岡山市の天満屋岡山店ではサポートが必要な客を手助けする、特別な資格を持ったスタッフが常駐しています。しかし、バリアフリーな店舗づくりには様々な課題があり、こうしたデジタル技術の活用に関心を寄せる企業も多く、9月3日に岡山市で開かれるナビレンスの説明会には多くの企業や自治体が参加する予定です。

(天満屋岡山店総務チーム 三村佳奈美課長)
「当事者がどのような事で困っているのか、地域の皆さま、全てのお客様により優しい店づくりにはどうしたら良いかを研究するために、まずは説明会に参加させてもらいたい」
手話 ナビレンス15
ナビレンスの活用方法は道案内以外にも。商品やサービスの情報を伝えるツールとしても活用できます。

(■自販機で商品説明、購入)
(ナビレンス音声)
「1段目左から 麦茶 コールド 130円・・・」
手話 ナビレンス16
(岡山市視覚障害者協会 筒井良平さん)
「無事買えました。久しぶりに自分の力で好きなものを買えた。なかなか1人で買えないので利用していなかった」

(アイ・コラボレーション神戸 北山ともこ理事)
「障害はその人の問題ではなく社会の問題。ナビレンスの普及で社会のバリアがなくなれば良いと思う」
手話 ナビレンス17
視覚障害者がテクノロジーでより行動的に。ナビレンスの普及がよりバリアフリーな社会を作るきっかけになる可能性を秘めています。

(岡山市視覚障害者協会 筒井良平さん)
「岡山市内のいろいろなところにナビレンスがあって、さすが点字ブロック発祥のまちだと言われるようになったらうれしい」
手話 ナビレンス19
デジタル技術で視覚障害者の世界が広がります。以上、特集「手話が語る福祉」でした。