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2022.10.21

「どの会社も使ってくれなかった」元組員が語る社会復帰…暴力団を根絶へ 暴追センターの取り組み【岡山】

暴力団組織の弱体化への取り組みや被害者の相談対応などを行う岡山県暴力追放運動推進センターが、2022年で開所30年を迎えました。暴力のない社会を目指すセンターの取り組みを取材しました。

倉敷市の建設会社で働く50歳の男性。元暴力団員です。17年前に最後の刑期を終えるまで人生の大半を塀の中で過ごしてきました。

(元暴力団員の男性 50歳)
「前科30犯くらい。いろいろな事がある。(組織にいたのは)12・3年くらい。(暴力団への)締め付けが厳しくなってもうだめだと思って抜けた」

暴力団員は、組を抜けても当面は、銀行口座の開設や賃貸契約などができない場合が多く就職先も限られるといいます。

(元暴力団員の男性 50歳)
「元反社というだけで2.3年間はどの会社も使ってくれず今の会社の社長が声をかけてくれるまではどこも使ってくれない状態だった」

この会社の社員は、約1割が元暴力団員。社会復帰への意欲はあるものの就職先が決まらない人たちの受け皿となっています。

(男性が働く会社 藤原瑞輔経営企画部長)
「生活に困窮することなどが原因で犯罪を犯し、刑務所や暴力団に戻る人も出てくる可能性がある。そこを支援してあげれば、無事社会復帰して自立した生活が送れるのではないか」

センターではこのような企業と連携し暴力団を抜けた人の支援を行うなど暴力団勢力の弱体化に向け取り組んでいます。センターは30年前、暴力団員の不当な行為を取り締まる暴力団対策法の施行に合わせて開所しました。

厳罰化により、県内の暴力団員の数は減少傾向にあります。一方で、その活動は、年々、不透明さを増しています。

(県暴力追放運動推進センター 小倉誠専務理事)
「最近は違法薬物や特殊詐欺などにも手を染めている。完全に組織には属していないが「半グレ」や「共生者」など暴力団に協力する者も増えている」

センターでは、こうした目に見えにくい暴力団の活動に不安を抱える市民の相談への対応や使われなくなった暴力団事務所を買い取り撤去するなどの活動にも力を入れています。

(県暴力追放運動推進センター 小倉誠専務理事)
「去年・おととしと拳銃を使った銃撃事件も発生していて、決して暴力団が身近にいないというわけではない。暴力団を利用しない、金を出さない、恐れない、交際しないなど皆さんにも徹底してもらえれば」

センターでは、今後も警察などと連携し暴力団勢力を根絶することで安全安心な社会づくりに取り組むとしています。