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2022.08.15

元CAが開発 古いコメを活用した「玄米カイロ」フードロス削減へ 農業の新たな可能性【岡山】

8月8日は、漢字の米の字を分解すると八十八になることなどから、「コメの日」とされています。

コメのフードロスを削減したいと会社を立ち上げ、奮闘する岡山市出身の女性がいます。コメ農家で生まれ育った彼女が伝えたい思いとは。
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主食として日本の食卓に欠かせない「コメ」。古くからコメを作るには88の手間がかかると言われるほど、その作業工程は多く、機械化が進んだ現代でも、決して簡単な作業ではありません。

(LELION 五賀晶子代表)
「後継者の若手がいないことが問題だと思う。古米などに目を向けて、新しい農業の形や可能性を広げることが、継続するために大事」
 
岡山市で約200年続くコメ農家に生まれた五賀晶子さん34歳。
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フードロスの削減や、オーガニックライフをテーマに、商品開発や販売を行うブランド、LELIONの代表です。

彼女が手掛ける商品が今、SNSを中心に話題を集めています。それが…売れ残り捨てられるはずだった古いコメを活用した「玄米カイロ」です。
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電子レンジで温めると、中に入った玄米の水分が蒸気になり、身体を温めてくれる商品で、玄米が空気中の水分を吸収するので、300回以上繰り返し使うことができます。
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2020年からインターネットで販売を始め、2021年は、1000個以上が売り上げました。最近は、インスタグラムでの発信にも力を入れています。
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(LELION 五賀晶子代表)
「(Q.SNSが知るきっかけに?)多いですね。質問や問い合わせはほとんどSNS。インスタグラムを見て、 (商品を)買いたいと言う人が多い」
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近年、深刻な問題となっている「コメ余り」。農林水産省によりますと、2021年生産されたコメの民間在庫量は、2022年5月末時点で204万トン、2015年からの統計で在庫量が200万トンを超えたのは初めてです。
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食の多様化でコメ離れが進んでいるのに加え、コロナ禍で外食需要が減り、業務用のコメの消費が大幅に落ち込んでいるのが大きな理由です。
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五賀さんの原動力となっているのは、幼い頃抱いたある思いです。
 
(LELION 五賀晶子代表)
「コメ農家に生まれて、親の作業をずっと見てきて、大変さも知っていて、売ることの大変さも一緒にそばにいて、感じてきたので、何か違う形で 私が継げないかなと」

1988年8月8日、コメの日に岡山市で生まれた五賀さんは、兵庫県の大学を卒業後、2012年、大手航空会社に就職。
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キャビンアテンダントとして世界20ヵ国以上を飛び周り、多忙な日々を過ごしていましたが、4年前、父親が体調を崩したことをきっかけに農業を手伝い始めました。
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そこで、改めてフードロスの現状を知り、古いコメを使った商品を販売したいと、かつてのCA仲間とともに2020年、LELIONを立ち上げました。

(LELION 五賀晶子代表)
「新米ができると、どうしても去年のコメが古くなってしまうので、そこを何とかできる商品を作りたかった。思いついてからは、とにかくやってみないと分からないと、手縫いで。本当に良い方ばかりに巡り会えたので、助けてもらってようやく形になった」

この日、五賀さんの姿は、高梁市成羽町の吹屋ふるさと村にありました。
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こちらは、手作りした調味料の販売を行う佐藤紅商店、実はここから、玄米カイロに必要不可欠なあるものを仕入れています。

(五賀さんと佐藤さんやり取り)
「今年の冬もお願いしたいのですが…」
「(冬も)規格外が出ると思う。去年のものを見てもらうと、丸まったものや少し赤みが弱いものがどうしても出てくる。使ってもらえると非常にありがたい」
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玄米の保存性を高めるため、カイロの中に入れているトウガラシ。彼女の取り組みに賛同した佐藤さんが、本来捨てられるはずの規格外のトウガラシを半年に1回提供しています。
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(佐藤紅商店 佐藤拓也代表)
「良いものを作ろうという 意識が高いので、出来の悪いものに向き合う時間が、正直ない。そういったところに目を向けてくれる 人がいるのは安心できる」
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(LELION 五賀晶子代表)
「作ることは皆さん上手だが、販売に手が回っていなかったり、どうやって販売してよいか 分からなかったりする人がけっこういる。私が販売する枠を増やせたら」
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五賀さんの取り組みは、点から線へと広がり、大きな輪になろうとしています。現在は、神奈川県鎌倉市のアパレルメーカーとタッグを組み、コメを素材に使った洋服を開発中の五賀さん。フードロスをきっかけに、農家の新たな可能性を切り開こうと奮闘する彼女の今後の夢は…。
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(LELION 五賀晶子代表)
「農業でフードロスと言われても、皆さんなかなかイメージしづらいと思う。身近にあるものから商品を手にとってもらい、その先に背景を感じてもらいたい。困った農家があれば相談に乗って、プロデュースできればと」