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2020.08.13

【特集】終戦から75年 戦争を語り継ぐ…コロナ禍の活動は【香川】

8月15日は終戦の日、戦後75年の節目です。戦争を語り継ぐ活動は体験者から次の世代にバトンがつながれています。しかし、新型コロナウイルスはこうした次の世代の活動にも暗い影を落としています。

(入江紀文さん)
「非常に窮屈。やりたいことがやれない」

こう語るのは香川県多度津町に住む、元教員で郷土史家の入江紀文さん。今、2つの悩みに直面しています。入江さんの研究テーマは1945年8月6日にアメリカ軍が広島に投下した原爆です。妻の母親が被爆者だった縁で、母親が目にした広島の惨状を聞き取り、冊子にまとめました。
そして5年ほど前から「語り部2世」として香川県内を中心に講演会を開き、平和について訴えています。
しかし、戦後生まれの入江さんは戦争を直接知らないため語り部として限界を感じています。

(入江紀文さん)
「伝えきれない葛藤は払拭できない。被爆者の代わりにしゃべっているだけで被爆者本人の語りじゃないと思われている。痛み、大変さ、酷さは言葉を尽くしても伝わらない」

そして2つ目の悩みが、新型コロナウイルスの感染拡大による活動の自粛です。毎年8月に開いていた講演会も自粛しました。

(入江紀文さん)
「やむを得ないとしか言いようがない。しかし来年は大丈夫という保証もない」

コロナ禍で注目が集まるオンラインを使った新しいコミュニケーションも悩みの種です。オンライン上なら講演会を開ける可能性がありますが、71歳の入江さんは抵抗感を持っています。

(入江紀文さん)
「パソコンで資料収集や発信はあるけど、オンラインでどうこうというのは苦手で(挑戦する気持ちは)今のところない」

入江さんは母親のほかにも高齢の戦争体験者から聞き取り調査して発信していますが、感染防止のため今年は調査が進みません。

(入江紀文さん)
「体験者から直接話を聞ける時間が迫っている。しかし訪ねて面談するのが難しい今はいらだたしい」

戦争を語るバトンを受け取った次の世代はこれからどのように進むべきか。

(森広幸さん)
「(戦争を)より知っているのは80代90代だが、これからは40代50代の自分たちが引き継ぐ」

三豊市三野町の戦争関連品の収集家、森広幸さんは今、気持ちを新たにしています。軍用ヘルメットなどの戦争関連品の展示会を定期的に開いて、平和を考えてもらう活動をしていますが、今年は自粛しました。
国内の戦争関連施設にも詳しいことから、かつて日本と戦争していた外国の元兵士の関係者を招き、戦争関連施設を案内する友好活動もしています。2020年5月にもイギリスから関係者を招く予定でしたが、感染拡大で延期になりました。

(森広幸さん)
「5月に(善通寺市の)捕虜収容所跡を訪ね、日本人が建てた外国人兵士の墓を参拝する予定だった。残念がっていたが1年後に来たいと言っていた」

コロナ禍で思うように活動できませんが、森さんは立ち止まる時間はないと言います。戦争体験者が亡くなり、戦争に関する多くの遺品が処分されています。それを防ぐため収集活動に専念しようと考えています。

(森広幸さん)
「戦死した父の日の丸の寄せ書きを捨てたという話も聞いたので捨てるより僕たちに預けてほしい。今は資料集めの準備期間だと考えている」
  
コロナ禍と重なった戦後75年の節目。戦争を伝えるバトンを受け取った次の世代は、戦争の悲惨さを伝えることと感染拡大を防ぐことの相反する2つの命題の間で揺れています。
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