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岡山放送

2023.02.14

「愛生」を読み継ぐ…隔離の日常まとめた機関誌 ハンセン病の歴史を随筆や短歌で伝える【岡山】

瀬戸内市の国立ハンセン病療養所、長島愛生園で発行されている機関誌を読み継ごうと、活動している女性がいます。差別や偏見に苦しみながらつづられた入所者の思いが、今、広がっています。

大きなリュックサック。中に入っているのは、約200の冊子です。

(鑓屋翔子さん)
「瀬戸内市の長島愛生園で発行されている機関誌“愛生”のバックナンバー」

瀬戸内市に住む鑓屋翔子さんは、2年ほど前から県内各地に出向き、「愛生を読む会」を開いています。

「愛生」は国立ハンセン病療養所、長島愛生園が開園した翌年の1931年から約90年に渡り発行され、最新号は840号。国の誤った隔離政策で収容された人たちが、それぞれの思いを随筆や短歌にして残してきました。

園内にあるカフェ、「さざなみハウス」の店長を務める鑓屋さんは、入所者からいつも届けられる「愛生」につづられていた元患者たちの言葉に、心を打たれました。

(鑓屋翔子さん)
「ハンセン病に対して、みんな遠いもので、触れてはいけない、語ってはいけないなどの気持ちになるのかな。ちょっと自分たちに身近なものから触れてもらえたらなと」

この日は、岡山県北の奈義町で「愛生を読む会」を開きました。SNSでの呼びかけで、県内各地から参加者が集まりました。

朗読はせず、それぞれ手に取った冊子を黙々と読みます。こちらは、家族との別れがつづられた随筆です。

■機関紙「愛生」より
遠くから思いあう愛。それはもう私を支えてくれる何者でもないのではなかろうか。そうなった時、私は泣くことができない。全くの孤独になってしまうのである。

(参加者は…)
「この時この人は、家族と離れて、家族が自分のことをずっと覚えていてくれることに確信が持てなかったと思う。つらかっただろう」

初めてハンセン病の歴史に触れた人や、同じ作者の作品を探して読む常連もいます。

(参加者は…)
「覚えてしまう。同じ時代のものを読んでいると、必ず出てくる名前がある」
「隔離されて大変な思いをしたと思う」
「パーマ屋さんができて、パーマをあててもらって、女性がうれしそうに出てきて、限られた中にも喜びを見つけて暮らしていたんだな」

(鑓屋翔子さん)
「いろんな見方ができるから、みんなが全部目を通さなくても、担いでいかないといけない」

参加者は、それぞれが感じたことを伝え合いながら、元患者たちの思いに寄り添うのです。

(鑓屋翔子さん)
「病気を受け入れて暮らしている人たちの強さ、でもそこに恨めしさを感じる気持ち。日常暮らしている私たちと何ら変わりない。私も何か自分の目線で伝えられたら」

差別や偏見のない社会へ…。鑓屋さんが「愛生」を通じて運ぶその願いは、今、多くの人がハンセン病問題を考えるきっかけとなっています。