岡山放送
2021.08.31
ハサミを握れなくてもみんなを笑顔に…39歳で難病ALSと診断 理容師・父として【岡山・倉敷市】

(食事の様子)
「トマト食べる?」


「周りの目が気になりだして。口に運んでもらうのはまだ抵抗がある感じ」

「結構詰まったりもするので、詰まりにくいものを色んな人に聞いて。離乳食の後期みたいな」


「もう曲がらない。無理に動かそうとしたら痙攣して力がうまく入らない」
ALS、筋萎縮性側索硬化症。脳の命令がうまく伝わらなくなり、運動神経が障害され、全身の筋肉が次第に動かなくなる原因不明の病気です。
発症後3年から5年で自発呼吸ができなくなり、やがて、死に至ります。有効な治療法はありません。
直樹さんが最初に感じたのは右手の違和感でした。
(直樹さん)
「(右手が)握手する時とか痛くて。あるとき、握手の相手の人に力が入っていないと言われたのが最初。腱鞘炎(けんしょうえん)かなと思った」

診断を受けた時、直樹さんによぎったのは周りの人の顔でした。
(直樹さん)
「だいぶ恐ろしい病気で、その日1日へこんだ」「自分のことよりこの先の家族だったり、自営でやっている店とか、自分が抜けたらどうなるか」

倉敷市にある理容室、5年前、直樹さんが夫婦で立ち上げた店です。


「100%悔しい」
「いまだにできることを想像して、たまに動かないことを忘れて、ちょっと貸してとやるが、結局無理」
2020年までオーナー兼店長だった直樹さん。病気が進行し、副店長に店長を引き継ぐと共に大切なハサミを託しました。

「(引き継いだハサミを)ずっと使っていこうと思います。オーナーの分まで頑張ろうと思って」

「泣いてきていいですか」
現在も店には顔を出していますが、最近は、店に立つ時間に比べ、車で休憩する時間が増えてきました。
(直樹さん)
「お店で立っていると疲れてくるので、口数が少なくなって、お客さんが心配する。」
(直樹さん)

(長男・樹くんが靴下をはかせる様子)
病気が進行し、できないことが増える父親とは対照的に、樹くんは、できることが増えてきました。

「(パパのどこが好き?)ここ」
(直樹さん)
「元気もらえますね」
日々成長する我が子の姿が、時に折れそうになる直樹さんの心を支えています。
(直樹さん)
「なるべく諦めない自分を見せて、やりかた次第でこういうこともできると伝えたい」

「私がずっと支えているから、いくらでも長生きしてほしいなと思っている」

(直樹さん)
「(家族との時間は)病気になる前よりだいぶ貴重な時間」「まわりのみんなが笑っていられる環境を続けることで、自分の体もひょっとしたらよくなるかも」

(長男・樹くん)
「パパ、大丈夫?」
「パパ、大丈夫?」

