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古い蔵の土壁から発見された127年前の〝痕跡〟

2020.02.14

古い蔵の土壁から発見された127年前の〝痕跡〟

甚大な被害をもたらした西日本豪雨から1年7カ月が過ぎ、
被災地は少しずつ復旧、復興へと歩みを進めています。

その一方で時間の経過とともに災害の教訓を地域でどう継承していくのかが課題となっています。
そうした中、倉敷市真備町岡田地区に災害の教訓を後世に伝えようと動き出した人たちがいます。

一昨年の秋、岡田地区の住宅にある古い蔵の土壁で〝ある痕跡〟が発見されました。
それは明治26年、大型台風による大雨で高梁川と小田川が決壊し、
200人以上が犠牲になった大水害の浸水跡。
西日本豪雨の浸水跡よりさらに高い位置にひっそりと残っていたのです。

真備町は長い歴史の中で幾度となく水害に見舞われてきました。
しかし、そうした水害の系譜は世代交代や宅地化が進む中でいつしか忘れ去られていきました。
もう二度と水害で犠牲者を出してはいけない、
住民はそうした強い気持ちで水害の歴史を後世に残そうと浸水跡が残る土壁を保存、
展示しようと活動を続けています。

西日本豪雨をきっかけに120年以上もの時を経て見つかった浸水の爪痕。

物言わぬ水害の痕跡から私たちは多くのことを学ばなければいけない。
取材を通じてそう強く感じました。

執筆:小林宏典(OHK報道部)
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