2021.02.02
コロナ禍でDVが社会問題に…一歩を踏み出す勇気を与えたのは「子供のSOS」【岡山・津山市】
コロナ禍で社会問題となっているのがDV・ドメスティックバイオレンスです。被害者を保護する岡山県内のシェルターに、ある親子が駆け込みました。母親が一歩を踏み出す勇気を与えたのは、子供のSOSでした。
(親子やりとり)
「ただいま」「おかえり」「どうだった学校は?」
小学4年生の女の子です。帰って来たこの場所は、彼女の自宅ではありません。DV被害者を支援する津山市の「オリーブの家」が運営する民間のシェルターです。2020年の暮れから母親と一緒に保護されています。
(DV被害者の女性 50歳)
「我慢していた私のコップがあふれたのがきかっけ。今まで夫に言われて、自分の行動を直さなきゃと思って、直す努力もしてきたが、それももう能力がないのかなと自分であきらめたのもある」
約10年に渡り 夫の暴言に苦しみ 人格を否定…
母親は、約10年に渡り、夫の暴言に苦しみ、人格を否定され続けてきました。
(DV被害者の女性 50歳)
「私が専業主婦で働いていなかったので、収入がないこととか、楽な生活をしやがってと。寄生虫だとか、パラサイトだとか、一番ひどかったのはうじ虫、下等動物と言われた」
(竹下美保記者)
「その言葉が発せられた時、子供さんはどこに?」
(DV被害者の女性 50歳)
「大抵そばにいて、また…と聞いてましたね」「全部子供は見ていますね」
新型コロナの外出自粛で夫はリモートワークに 暴言は一層激しく
新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で、夫は自宅でリモートワークになりました。一緒にいる時間が増え、その暴言は一層激しくなりました。娘は、学校に行けなくなりました。
(DV被害者の女性 50歳)
「そうです叫びだったと思います。SOSを私に発信していたと思う」
「子供がある時、行こうと、買い物行くって子供が考えて、本当に買い物行くエコバックに詰められるだけ詰めて出たので」
(娘)
「前と比べればこっちの方が、お母さんとか私の笑顔も増えたし、前だったらお母さんがいつ出て行くかっていう不安もあったから、こっちは安心。お母さんが出ていく不安がないから」
(どうしてお母さんが出て行くって思ったの?)
「お父さんとよくケンカしていたから、その時に出て行けってよくいってから、心配で怖かった」
相談は前年の4倍に 第3波の影響で再び増え始める
「オリーブの家」には、2020年度、多い月で前年の4倍もの相談が寄せられています。1回目の緊急事態宣言の頃が最も多く、2020年の暮れからは、第3波の影響で再び増え始めました。
(認定NPO法人オリーブの家 山本康世理事長)
「DVの環境で育ったお子さんのその後を考えても、皆さん子供の時から大人にならざるを得なかったとか、子供さんの心はむしばまれている。人の顔色を見るお子さんになることが多々あります」
心理カウンセラーでもある山本さんは、子供の前で暴力や暴言DVを見せることは虐待だと訴えています。
シェルターで暮らして1カ月余り…。親子の穏やかな時間が流れていました。母親は、弁護士を立て離婚調停を申し立てました。子供が子供らしく…。自分が自分らしく生きられるように、新しい生活を始める準備を進めています。
(DV被害者の女性 50歳)
「アパートを2人でネットで見て、どんな家にしたいかをしゃべるのがすごく楽しくて、2人で家庭を築いていきたい」
(娘)
「強い女の人でモデルになりたい」
「モデルになって、みんなを幸せにしたいです」
女の子は、きょうも避難先の小学校に通っています。誰の未来も決して諦めないために。「助けて」と言える場所は必ずあるのです。
DV被害者の相談や保護の依頼は、「オリーブの家(0868-28-4772)」で受け付けています。