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全国初の「再構築協議会」広島市で開催 芸備線の維持は…JR西と岡山・広島両県との議論は平行線の様相

2024.03.26

全国初の「再構築協議会」広島市で開催 芸備線の維持は…JR西と岡山・広島両県との議論は平行線の様相

(前川裕喜記者)
「再構築協議会が開かれている広島市の会場には50人以上の報道機関が押しかけ、関心の高さがうかがえます」

新見市と広島を結ぶJR芸備線の存廃について、国が間に入って鉄道事業者と自治体などが議論する再構築協議会。全国で問題となる赤字ローカル線の議論を加速するため、2023年に国が作った制度に基づき、3月26日、広島市で全国初の開催となりました。

国は3年をめどに結論を出したい考えですが、協議会の開催を要請したJR西日本、地域の足を守りたい岡山県、広島県など、それぞれの思惑が公の場でぶつかりました。

議論の対象となるのは新見市の備中神代から広島県庄原市の備後庄原までの山間部を走る区間です。人口減少が激しい地域で、JR西日本の中でも深刻な赤字を出す路線の一つとなっています。

協議会で、JR西日本はこの区間における1日の平均通過人員が48人、収益率は1.7%である現状を報告し、大型バスでの輸送も可能だとして次のように指摘しました。

(JR西日本広島支社 広岡研二支社長)
「地域のまちづくりに合わせた、今よりも便利で、持続可能性の高い交通体系の実現に向けた議論をお願いする」

これに対して、参加した岡山県の上坊勝則副知事は、公開されたデータの不完全さを指摘しました。

(岡山県 上坊勝則副知事)
「(以前の)ヒアリングの場で説明をお願いしたが、すべてのデータを公開で説明してもらえなかった。今回、協議会が設置され、透明性のある議論をすることになっているので、協議の前提として非公開とされたデータも、改めて公の場で説明していただき、議論していくべき」

また広島県からは、JR西日本が示していた黒字路線で赤字路線を補てんする「内部補助」という考え方をただす声が上がりました。

(広島県 玉井優子副知事)
「JR西日本は過去に内部補助でローカル線の維持が難しくなったと発言していたが、2023年度の業績予想は連結経常利益が1460億円で(民営化初年度1987年度と比較して)大きく伸びている。こうした経営状況を踏まえて、なぜ維持できないのか説明してほしい」

一方、議論の間に入る国の出先機関、中国運輸局は、議論の方向性は示さず新年度以降も定期的に協議会を開く考えを述べるにとどめました。

(前川裕喜記者)
「それぞれの意見は平行線をたどりそうな状況となりました。国は3年をめどに結論を出す考えを示したものの、それを超える可能性についても言及しました。赤字ローカル線をどうするか、議論は長期化しそうです」