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2023.08.24

多くの人に当事者の話を聞いてほしい…ハンセン病元患者家族が合宿を企画【岡山・瀬戸内市】

瀬戸内市の国立ハンセン病療養所で、ハンセン病について考える合宿が行われました。企画したのは元患者遺族の男性。偏見・差別をなくそうと活動する男性の思いを取材しました。

瀬戸内市の国立ハンセン病療養所、長島愛生園を訪れたのは、兵庫県尼崎市に住む黄光男さんです。黄さんが所属する兵庫在日外国人人権協会が主催する1泊2日の合宿に合わせて約30人が参加しました。

(ハンセン病元患者遺族 黄光男さん)
「今回は募集したんですよ、初めての人もおるから、それでハンセン病学んでもらったら」
「当事者と出会ってその人といろんなふれあいを重ねるのが一番効果があるかなと」

両親と2人の姉がハンセン病を患い、長島愛生園に入所したのは黄さんが1歳の時。その後、黄さんは岡山市の児童養護施設で育てられました。回復した家族と再会し、一緒に尼崎に戻ったのは8年後でした。

(黄光男さん)
「8年間、長島愛生園で生活した写真は1枚もない、両親はその間何があったか一切語らなかった」
「どんな思いで両親たちが長島愛生園で生活したかというのをただ知りたかった」

黄さんは、学生時代の同級生に誘われて、ハンセン病問題の啓発活動を続けています。それでも、家族が元患者だということは長い間言えませんでした。

(黄光男さん)
「彼らのやっている活動をみて、ここまでハンセン病の問題を自分の問題としてとらえてやっているのを見たら、ちょっとは自分の親の話をしてちょっとは協力してあげないといけないという気持ちに傾いた」

(見学する黄光男さん)
「ここに両親がいて姉さんは愛生学園にいた、この辺か」

黄さんが、仲間たちと愛生園を訪れ、ハンセン病の歴史を学ぶ活動はもう10年以上続いています。今回は、黄さんと同じく両親が元患者だった男性を沖縄から招き、一緒に、直接遺族の思いを伝えようと考えました。

(ハンセン病元患者家族 奥間政則さん)
「どんどん高齢化で在園の人亡くなる」
「じゃあ語り継ぐ人誰がいるの、家族なんですよ」
「語るきっかけは国策に対する怒り、家族の絆をずたずたにされた」

多くの人がハンセン病療養所を訪れ、多くの人に当事者の話を聞いてほしい。黄さんが企画した合宿には、そんな信念が込められています。

(黄光男さん)
「知識は大事だがそれだけではダメで、生の人間と直接であって話をして手を取り合って、接触してそれでやっと自分の中の差別意識が解けてくる、そんな感じになるんじゃないかな」