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2023.08.23

橋が崩落、温泉は水没、観測史上最大の雨…“線状降水帯”発生で町に何が【急上昇ニュース岡山香川】

今話題のニュースやネットで関心を集めたニュースを詳しく解説する「急上昇ニュース」。配信担当の堀さんです。

先週の台風7号で、岡山県で初めて“線状降水帯”が確認されました。今回はその脅威を検証します。
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線状降水帯は、発達した雨雲(積乱雲)が次々と発生し、同じ場所に流れ込むことで発生します。長さ50キロ~300キロ、幅20キロ~50キロ程度で線状に伸びることからこう呼ばれます。

線状降水帯が発生すると、「局地的に何時間も激しい雨が降り、急速に災害の危険度が高まる」と言われています。台風7号で線状降水帯が発生した岡山県北の鏡野町は、観測史上最大の大雨を観測しました。
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橋にびっしりとまとわりついた枯草や流木。
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崩れ落ちた橋も。
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護岸はえぐられ、砂利や石が流れ込んだ田んぼでは、収穫を前にした稲が無残に倒れていました。
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岡山県北、鏡野町の上齋原中津河地区。「裏見の滝」の愛称で知られる岩井滝で有名ですが、現在は…

「名勝・岩井滝に続く遊歩道です。今回の台風で道路が陥没し通行止めになっています。さらにその下流では、橋に巨木が激突しています。非常に危険な状況です」

こうした被害はすべて台風7号の大雨によるものです。
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岡山県鏡野町や真庭市では、8月15日の朝7時半頃から1時間あまり、局地的に大雨を振らせる線状降水帯が発生しました。

(岡山地方気象台 濱子訓志調査官)
「8月15日の午前7時40分ごろから、ほぼ同じ所に強い雨雲があった。午前9時に無くなった」

その日の様子を地元の住民はこう語ります。
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(中津河地区に住む小椋正さん)
「午前3時ごろから雨の音が大きくなって、4時、5時、6時と大雨が長く続いた。石がゴロゴロ鳴る。大きな石が濁流で流されている。畔が崩れ、稲が流されていく様を何もできずに家の窓から見ていた。ひと月もしないうちに刈り取るはずだった」

流木が橋に当たり、せき止められた川の水が迫ってきた家もありました。

この日、鏡野町恩原では、観測史上最大の24時間雨量、530.5ミリを記録。下流の奥津温泉も川の増水で大きな被害を受けました。
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(地元の自治会長 難波良佐さん)
「この下に奥津で最高といわれる源泉がある。それも完全に浸かった」

町が誇る観光名所も人手が足らず、復旧は追いついていません。

(鏡野町役場 大山博聖危機管理官)
「地元の方が使う温泉も土砂が流入した。復旧のめどは立っていない」
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今回、岡山県北で線状降水帯が発生したのはなぜなのでしょうか?

岡山地方気象台の濱子訓志調査官は、「動きの遅い台風7号が岡山県の東側を通り、湿った北風が大量に入ったため」だといいます。

(岡山地方気象台 濱子訓志調査官)
「線状降水帯が発生した理由は…
 ・北から入った湿った空気が鏡野町の辺りで合流
 ・台風7号の動きが遅く停滞
 ・中国山地で湿った空気が持ち上がり、積乱雲が発達」
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このため、鳥取県境の辰巳峠で大規模な土砂崩れが発生するなど、岡山県では北に行くほど被害が大きくなりました。

局地的に大きな被害をもたらす線状降水帯。それ以外の地域でも発生する可能性はあるのでしょうか?濱子調査官は、3つの可能性を指摘します。
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そもそも岡山・香川は、四国山地に遮られて雨が少ないという前提がありますが、
 ・今回のように北風が吹いて岡山県北で発生するケース
 ・紀伊水道から風が吹いて岡山県東部で発生するケース
 ・愛媛の石鎚山と剣山の間の山の低い所から吹いて、香川県西部で発生するケース
が考えられるということです。

今は天気予報の精度が上がっています。今回の線状降水帯も事前に注意喚起がありました。そうした情報を信じて早めの行動を取ることが大事です。