少子化で閉校したさぬき市の小学校跡に、世界市場を見据える東京のデジタル関連企業がオフィスを開きました。香川進出の決め手、そのキーワードは「逆張りの発想」です。

（前川裕喜記者）
「銅像や広いグラウンド。かつて子供たちでにぎわう小学校でした。ここから新たなチャレンジが始まっています」

少子化で２０１９年に別の小学校と統合し閉校したさぬき市の旧神前小学校です。東京のソフトウェア開発会社「キリロムデジタル」が、旧校舎を借りて５月、国内２つ目のオフィスを開きました。

（カンボジア人のエンジニア（２４））
「今やっているのは画像生成ＡＩサービス「ステーブルディフュージョン」のリサーチ」

おしゃれな空間で働くのは、高度外国人材として永続的な就労ができる２２歳から２４歳のカンボジア人エンジニア７人です。企業向けにシステムやＡＩを開発しています。経営する猪塚武社長（５５）はさぬき市出身。２０１１年にカンボジアで起業し、現地で工科大学を運営する著名な実業家です。２０２１年に東京でこの企業を立ち上げ、現在は自己資本を１億円増強し、アメリカ進出も目指します。

そうした中、香川に拠点を開いたわけは…。

（キリロムデジタル　猪塚武社長）
「（安い）地価を考えるとアドバンテージがある。みんなに反対された。エンジニア不毛の地、香川でやるのかと。もともと「逆張りの発想」なので、競合が来ないところで独自のことをやってマーケティングに成功して大きくなってきたので」

地域の衰退を象徴する場所から世界への挑戦。雇用面での支援を含めて協力協定を結んだ香川県は大きな期待を寄せています。

（香川県　池田豊人知事）
「これから（地方の）反転攻勢の象徴として意味がある。世界の最先端に名乗り出る象徴だと思う」

企業の「逆張りの発想」で選ばれた香川。チャンスを生かすために今後、企業に協力できるデジタル人材の育成が求められます。