夜の鉄道を彩ったあの頃の姿が蘇ります。

かつての寝台列車、「ブルートレイン」を遍路宿として再生するプロジェクトを、観音寺市で進める男性らが、２０２２年春の開業に向け、車体の修復工事を進めています。

山あいの駐車場にたたずむ２両の客車。２０２１年４月に鹿児島から移送されてきた、かつての寝台特急、ブルートレインです。 善通寺市のうどん店店主、岸井正樹さんらの手により、新天地の、雲辺寺ロープウェイ駐車場で、遍路宿として再生する準備が進められています。 当初は、年内の開業を目指して工事が進められていましたが、長年放置されていた車体には、岸井さんの想定以上の深刻な問題が起きていました。 （岸井正樹さん）
「エアコンカバーから腐食して、雨漏りがある。(雨水が)伝わってきて、蛍光灯の基盤がさびたり、天井もこんな感じ」 そんな状況を救おうと立ち上がったのが、岸井さんと同じ香川県内の鉄道ファンです。

普段は、丸亀市の遊園地で施設のメンテナンスを手掛けている井澤孝文さんは、得意の電気工事のスキルを生かし、ボランティアで修復作業に加わりました。 （井澤孝文さん）
「照明も一度全部外して、中の安定器も外して、配線をLEDに切り替えて元に戻した。「オリジナルの蛍光管が良い」と言う人もいるが、優先考えたらLED。中の安定器やコンデンサーも劣化しているので、安全を考えてLEDにした」 工事が一段落したこの日の夕方は、車体の照明が無事に点くかを確かめる試験点灯が行われました。 （スイッチＯＮ・車内照明が点く様子） 夜の線路を走っていた現役時代を思わせる風景に、岸井さんたちは、しばし見とれながら今後への決意を新たにしていました。

（岸井正樹さん）
「最高！ブラボーですね。なんかよみがえったよう。いろんな壁に当たったが、一つ一つクリアしていっている。必ず自分の思った形にしようと決めている。頑張ります」 （井澤孝文さん）
「まだスタートラインと僕の中では思っている。まだまだよみがえらせて、生きているものにしていきたい。「1分の1の模型」を素晴らしいものにしていきたい」 ブルートレインの遍路宿、「オハネフの宿」は、移設から１年を迎える２０２２年春のオープンを目指し、今後も屋根の設置など工事が進められます。