調査は「現認」がとても大切です。

GWに家族で訪れた白川郷での出来事です。

世界的観光地でも観光客のカスタマージャーニーを見誤るとビジネスは継続できない、そんなお話です。

※カスタマージャーニーとは、直訳すると「顧客の旅」という意味。顧客が製品・サービスと出会い、そこから購入・契約に至るまでの道筋のこと。

当初、石川県の兼六園周辺を観光する予定だったのですが白川郷が意外に近いこと気付き、急遽行先を変更して一路白川郷を目指しました。高速を降りると大渋滞だったので、3キロほど手前の道の駅の駐車場に止め、歩いて「合掌造りエリア(以降、メインエリア)」に向かうことにしました。

まずびっくりしたのは、途中に見かける飲食店がほぼ全店GW休暇であったこと。日本中から客が押し寄せるのに休み?と一瞬戸惑いましたが、ガラス扉の奥に見える黒板には安いランチ料金が書かれています。地元客向けだからお休みなのかな?と推測できました。

子供に「なぜGWにお店が閉まってると思う?」と聞いてみたら、高校3年生の長男は「観光客は行かないんじゃないの」とするどいことを言ったので結構ビックリしました。

またしばらく歩き、合掌造りエリア(以降、メインエリア)近くまで来たところ、お洒落なカフェが閉店しています。歩くと良くわかるのですが、大渋滞はあれど誰も車から降りないのです。観光客が来なかったのかな?とイメージできます。

では、なぜ我々のように歩いてメインエリアに向かう人がいないのか??

到着してから分かったのですが、車で来る観光客はほぼ全員、メインエリアから川を挟んで向こう岸の村営駐車場に車を停めているんですね。なぜならその駐車場からメインエリアまで、吊り橋を渡る観光体験が用意されていたのです。(私たちは急遽来たので調査が不十分でした…)

※渋滞ルートと村営駐車場、メインエリアの位置関係

 

観光客はつり橋も楽しみたいから大渋滞でも村営駐車場まで車を降りない。そのため、メインエリアのほんのちょっと手前だったとしても観光客はほとんどいないのです。

 

※駐車場と合掌造りエリアを結ぶつり橋

というわけで、新しくてお洒落なカフェが閉店した理由を下記のように想像しました。

・観光客のカスタマージャーニーから絶妙に外れた場所だった(現地・現認が不足?)
・観光客向けの値段設定のため、地元客の支持も得られなかった(競合を間違えた?)

結局、市場を間違えると、競合調査も当然間違えてしまうので、どうにもこうにもならなかったのかなぁという印象を受けました。

※後で調査したところ、閉店していたカフェは2019年にオーナーチェンジで「白川郷で唯一ラテアートが楽しめるカフェ」に生まれ変わっていたようです。ランチ料金も1000~1999円とやはり観光客向けでした。

ネットリサーチだけもで調査できることが増えていますが、実際に現地を訪れて、実態を把握することはとても大切です。テレビ局でいうところの取材です。絶対に間違った報道をしてはいけないので、色々な裏取りを重ねて放送に至っています。

どこに行っても、こんな感じで色々と考えてしまう癖がついていますが、結構楽しみながらトレーニング代わりにやっています。

 

磯部

 

お知らせ一覧に戻る