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豪雨に負けずに成長した稲 背中押された米作り

2020.10.02

豪雨に負けずに成長した稲 背中押された米作り

苗を植えた直後の被害でした。

倉敷市真備町の兼業農家・福島和雄さん(60歳)は、
西日本豪雨で妻や娘夫婦、2人の孫の6人で暮らす自宅を失いました。

先祖代々の田んぼも水に浸かり、農機具も全て使えなくなりました。
それぞれの仕事を持つ子どもたちが後を継ぐ予定はなく、米作り廃業を覚悟したのです。
そんな福島さんに前を向かせたのは、豪雨に負けずに成長を続けていた稲。

福島さんは、再び真備町に戻り、農業を続けていくことを決意しました。

福島さんが本格的に米作りを始めたのは、亡くなった父親から受け継いだ約10年前。
幼い頃から手伝ってきたものの、決して望んでいたものではなかったといいます。
豪雨被害を受けた福島さんは、度重なる水害を乗り越え田んぼを広げてきた父親の背中を思い出し、
中古の農機具を購入。自分の体力が続くまで、米作りを続けていくことを決心しました。 

町外の避難先から真備町の田んぼに通う日々。
その年、福島さんは、穂を垂れた稲を自分の力で刈り取ることができました。

そして翌年の田植え。
そこには、結婚して隣町に住む長男の姿がありました。

「うちの米はおいしい。やっぱり終わらせたくない」―。

奮起した福島さんの背中を見た長男もまた、決心したのです。
今年再建した真備町の自宅に戻った福島さんは、長男や家族と一緒に苗を植えました。

福島さんが守った田んぼは、今年もまた実りの秋を迎えます。

執筆:竹下 美保(OHK報道部)
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