2024.12.08
「西郷隆盛に会ったことがある」親せきが肉声で語った「思い出」とは・・・
OHKアナウンサーの萩原渉です。
もう9月のことになりますが、会議の出張で宮崎に行き、その帰り道、鹿児島に寄りました。
鹿児島といえば幕末に西郷隆盛や大久保利通らを輩出した、歴史ファンにとって一度は訪れてみたい「聖地」。
滞在時間はわずか数時間でしたが、薩摩が生んだ英傑達ゆかりのスポットを巡ってきました。
・・・と言って、いろいろ行きたい場所はあったのですが、何しろゆかりのスポットが多過ぎる上、最初に訪ねた「鹿児島市維新ふるさと館」の展示が興味深過ぎて、ここだけで1時間半を消費してしまったので、行きたい場所すべてを巡ることはできませんでした。
最も興味深かったのが、西隆隆盛の奥さんの弟の妻(つまり義理の妹)が西郷さんの思い出について語った音声記録です。
この西郷さんの義妹、岩山トクさんは若い頃に西郷さんに会ったことがあり、西郷さんが自決した西南戦争から70年以上経った95歳の時(今から70年以上も前の昭和20年代)に西郷さんの日常の様子やエピソードについてインタビューを受けていました。その肉声が公開されているのです。
征韓論に敗れて政府を去り、鹿児島に下野した後によく温泉に出かけていたことや頻繁に居留守を使っていたことなどが当時の上品な薩摩弁で語られています。
今でこそ誰もが映像を撮影したり音声を収録したりして、誰もがそれを世界に向けて発信できる時代になりましたが、70年以上も前の映像や音声、いわゆるアーカイブは非常に貴重です。こういった宝物をきちんと保存し伝えていくことはもちろん、より多くの人に知ってもらえる工夫がなされていることに感銘を受けました。
西郷さんの生誕地はきれいに整備され、記念碑が建っており、地元の皆さんが深い敬意を込めて顕彰していることがよくわかりますが、当時の面影が残っているわけではありません。
また、幕末から明治・大正時代にかけて多くの政治家や軍人を輩出したのは「加治屋町」というごく限られたエリアなのですが、ここの風景からも特に歴史の重さが感じられたり、感慨深さがある訳ではありません。
やはり時間を超えて伝わったもの、考古学品や古文書、音声や写真や映像といった類がいかに貴重なものかを痛感した鹿児島の短い旅でした。
短い滞在中に桜島の灰が降ることはありませんでしたが、こういった、その地域特有の看板などを見つけると「ああ、旅先だなあ」と感じますね。