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岡山放送

2026.03.26

【シリーズ・岡山県の新年度重点事業】(1)雄町米から拡がるおかやま酒物語プロジェクト【岡山】

 

  岡山県が新年度、重点を置く事業や新規事業についてシリーズでお伝えします。1回目は「雄町米から拡(ひろ)がるおかやま酒物語プロジェクト事業」。県産地酒の消費拡大に向け、PRに力を入れます。

◆雄町米を知っている人は「全国に知れ渡ってほしい」と語る

「おいしい~!」

3月、JR岡山駅で行われた岡山の地酒の有料試飲イベント。県内の酒蔵が日替わりで出展し、5日間で約600人が飲み比べを楽しみました。

これらの地酒に多く使われている原料の酒米が・・・、

(客は…)
「岡山には雄町米という特別な米もあるし、おいしい酒がいっぱいある」
「もっと全国に知れ渡ってほしい。おいしいので」

岡山駅立ち飲みBARの様子(3月14日 岡山市北区・さんすてテラス)

◆雄町米って聞いたことありますか?…日本酒ファン「ないです」背景には生産量の激減

雄町米は江戸時代の末期に現在の岡山市雄町地区の農家が偶然発見し、育てた品種です。中心部分の柔らかさと高い吸水性。おいしい酒を造るための条件を兼ね備えていますが、穂の丈が高く、風で倒れやすい上、病害虫にも弱いことから栽培が困難で、戦後は生産量が激減していました。

しかし!

Q:雄町米って聞いたことありますか?
(客は…)
「ないです」
「なんですか?分からんかも。日本酒用の米があるんだ」

日本酒ファンでも雄町米の存在や、雄町米が岡山にルーツを持つことを知らない人も多いようです。

雄町米の特徴(提供:岡山県)

◆岡山県は新年度予算で雄町米のPRや県産地酒の販路拡大に約1200万円を投じる

そこで。

(岡山県 伊原木隆太知事)
「とことん妥協せずに味を追求するなら雄町米。その雄町米を岡山県ではたくさん作っている。雄町米で酒を造っている酒蔵も他県と比べてかなり多い。雄町米が岡山の酒の大きな特徴だとPRして認知度を高めたい。岡山の強み」

岡山県は新年度、雄町米のPRや県産地酒の販路拡大に約1200万円を投じることにしました。

岡山県 伊原木隆太知事(3月19日 岡山県庁)

◆岡山県のアンテナショップでは「有料の試飲機」を設置 県産地酒のファンを増やすための取り組みを予定

PRの重要な拠点として期待されるのが、東京・新橋にある、県のアンテナショップです。2月、来館者500万人を達成。週末には1日に約2000人が訪れるといいます。

(萩原渉アナウンサー)
「お酒売場に2月末に設置されたのが有料の試飲機。岡山県と鳥取県の4種類を楽しめます」

300円で50ミリリットル、1000円で200ミリリットル試飲できます。

(萩原渉アナウンサー)
「(高島雄町(岡山市・宮下酒造)」を試飲…)馥郁(ふくいく)とした香りと米の旨味と甘みが広がる」

2025年10月、このアンテナショップで県主催の日本酒PRイベントが行われました。新年度の事業でも県産地酒のファンを増やすため、期間限定イベントや特設サイトの開設が計画されています。

東京・新橋の「とっとり・おかやま新橋館」に設置された有料の試飲機

◆県内有数の老舗酒蔵の倉庫には「国内向けのラベル」と「英語ラベル」が表裏一体

事業のもう一つの柱が、海外への販路の維持・拡大のための酒蔵への支援です。

創業1804年、県内有数の老舗酒蔵、真庭市勝山の辻本店は15年ほど前から商品を海外に輸出しています。

(辻本店 杜氏 辻麻衣子さん)
「こちらが瓶詰め工場と倉庫。アメリカ行きの荷物ができている。表は国内向けと同じラベルだが、裏は専用の英語ラベル」

アメリカのほか、韓国やヨーロッパなど、今では、輸出先は約20カ国に増え、2025年、フランスで開催された日本酒イベントではグランプリも獲得しました。

県の新規事業では、それぞれの酒蔵の輸出戦略に沿った営業活動を支援します。

(辻本店 杜氏 辻麻衣子さん)
「国内はアルコール離れとか人口減少とかマイナスな話が多いが、海外はまだ伸びしろがある。岡山や酒蔵や雄町の田んぼに観光や遊びに来る人が増えたらいい」

辻本店 辻麻衣子さん

◆岡山市を拠点に活動する「日本酒ライター」市田真紀さんが見た“雄町米”の魅力は…

そんな酒蔵にとって頼もしい存在となっているのが岡山市を拠点に活動している、「日本酒ライター」の市田真紀さん。県内の酒蔵やイベントで取材した日本酒や雄町米の情報を様々なメディアやSNSで発信し続けています。

(市田真紀さん)
「雄町米が岡山県産ということを知らない人が多く まだまだアピールが足りないのかなと。発祥が岡山で歴史があることや品種改良しておらず野性味あふれる原生種であること。岡山の「晴れの国」の風土に適した品種であることを伝えたい」

「日本酒ライター」市田真紀さん

◆事業の狙いはSNSなどで情報発信する「コアなファン」の獲得

この日は、酒造りの第一歩、米を洗う作業の取材です。繊細な雄町米は、その年の気候や産地によって扱い方を細かく変えなくてはなりません。この繊細さも雄町米の魅力です。

「(この雄町米は)真庭市産のものより硬い。真庭市産なら12分くらい水に浸すが、この雄町米はもう1分くらい…」

丁寧な取材を重ねる市田さんの情報は業界関係者やファンから高いニーズがあります。市田さんのように、とまではいきませんが、SNSなどで情報発信するコアなファンの獲得も県の新規事業の狙いです。

事業の内容

◆岡山の酒や雄町米のファンをどれだけ増やせるか…事業の行方に注目

(辻本店 杜氏 辻麻衣子さん)
「イベントだと決まった顔ぶれになる。ファンが増えたらうれしいので情報発信してほしい」

(市田真紀さん)
「雄町米はアプローチによって多様な酒を造れる。岡山の酒の多様性や豊かさが伝わるので、県の事業を機に全ての酒蔵が雄町米で酒を造ると迫力があっていい」

若い世代の酒離れや原料の価格高騰など高いハードルはありますが、岡山の酒や雄町米のファンをどれだけ増やすことができるのか注目です。

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