
2025.03.11
東日本大震災から14年 岩手の被災地で讃岐うどん店出店支援…高松市の男性が温めた被災者の心と防災意識
東日本大震災直後、被災地に讃岐うどん店を出すプロジェクトを立ち上げた男性が高松市にいます。男性は、今、震災の教訓を生かして地域全体で支え合う取り組みを進めています。
「陸前高田市民会館。自動車がアリーナの中にステージを破ってきて、渦になって最後、真ん中で鎮座したようなかたち」
「これも衝撃的、軽トラック。荷台はあるが運転席部分がない。津波ではぎ取られた。こういうのを見て本当に目を覆いたくなる衝撃を受けた」
高松市の税理士、松田哲也さん(62)。東日本大震災から約1年後。岩手県を訪れ、その悲惨な光景を目の当たりにしました。
【2011年3月11日午後2時46分】
東北地方の三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の地震が発生。その後、巨大な津波が東北地方を次々と襲い、これまでにない甚大な被害をもたらしました。
松田さんは香川県中小企業家同友会に所属し、被災地に讃岐うどんを贈る活動を続けてきました。松田さんたちは2012年、岩手県陸前高田市に讃岐うどん店を出店するプロジェクトを立ち上げます。
きっかけは被災者のある言葉でした。
(税理士 松田哲也さん)
「ある高齢女性に「何か欲しいものはないですか」と問いかけると「欲しいものは何もない。ただ、あしたすることがない。これほどつらいものはない」という言葉を聞いて、同行していたうどん店の社長と2人で何ができるのかと話していて「現地にうどん店を作ろう」というような話になった」
全国からの募金や岩手県内の中小企業の協力のもと讃岐うどん店、「ぴっぴ家さぬき」は2014年にオープン。
(利用客からのメッセージ)
「うどんを食べて みんなで話せてこんなに楽しいことはない」
「温かいうどん 元気に働ける場所 みんなが楽しく集える場所 本当に、本当に香川の人に感謝」
(松田哲也さん)
「たくさんメッセージをもらって、やっぱりやってよかったなと思った」
まちの復興事業やコロナ渦の影響などもあり、ぴっぴ家さぬきは2020年に休業。
しかし、2025年1月、松田さんのもとにぴっぴ家さぬきを運営していた現地の社長から一通の手紙が届きます。
(松田哲也さん)
「『何とか沿岸被災地のどこかに讃岐うどんが食べられる場所、ルーツが香川県中小起業家同友会である場所を作りたい、そんな思いを持っています。』といった手紙をもらった。私たちのやったことがずっと引き継がれているんだと思って安心した」
東日本大震災から14年。その間にも各地で大地震が発生。南海トラフ巨大地震も今後、30年以内に80%程度の確率で発生するとされています。松田さんが今、熱心に取り組んでいるのが、東日本大震災を教訓にした地域全体で支え合う取り組みです。
(松田哲也さん)
「(災害時には)香川県特有のため池の決壊がある。これはため池が決壊した場合の浸水想定図。うちの事務所の場合は0.5メートルから3メートル。この天井部分まで来る」
松田さんの事務所のあるエリアには指定された避難所が2カ所ありますが、南海トラフ地震発生時には安全な避難が難しいのではないかと懸念しています。
(松田哲也さん)
「(ため池が決壊したら)上流からがれきが一緒に流れてくると思う。あれが避難所の小学校。相当ここにがれきがたまるのではないか。液状化と合わせると、この地域の人たちが避難所までたどり着くことができないと思う」
そこで松田さんは、避難所に避難できないケースを想定し、地域の人が一時的に避難できるよう事務所に水や食料、蓄電池などの備蓄品を用意。
さらには、普段から地域住民が交流できるよう定期的に事務所を開放して、イベントを行っています。
ここまで松田さんを突き動かすのは、あの時に見た被災地の悲惨な光景だと言います。
(松田哲也さん)
「14年もたったのか。自分もあの時に聞いたこと見たことを封印したいと思ったこともある。私たちがずっと引き継いで、語り部となってやっていくことが大事なのではないかと思う。一人でも多くの人がBCPについて考えてもらえれば」




東北地方の三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の地震が発生。その後、巨大な津波が東北地方を次々と襲い、これまでにない甚大な被害をもたらしました。
松田さんは香川県中小企業家同友会に所属し、被災地に讃岐うどんを贈る活動を続けてきました。松田さんたちは2012年、岩手県陸前高田市に讃岐うどん店を出店するプロジェクトを立ち上げます。

(税理士 松田哲也さん)
「ある高齢女性に「何か欲しいものはないですか」と問いかけると「欲しいものは何もない。ただ、あしたすることがない。これほどつらいものはない」という言葉を聞いて、同行していたうどん店の社長と2人で何ができるのかと話していて「現地にうどん店を作ろう」というような話になった」


震災で職を失った被災者が店に立ち、温かい讃岐うどんを提供する自立復興支援型のうどん店が誕生しました

「うどんを食べて みんなで話せてこんなに楽しいことはない」
「温かいうどん 元気に働ける場所 みんなが楽しく集える場所 本当に、本当に香川の人に感謝」
(松田哲也さん)
「たくさんメッセージをもらって、やっぱりやってよかったなと思った」
まちの復興事業やコロナ渦の影響などもあり、ぴっぴ家さぬきは2020年に休業。

(松田哲也さん)
「『何とか沿岸被災地のどこかに讃岐うどんが食べられる場所、ルーツが香川県中小起業家同友会である場所を作りたい、そんな思いを持っています。』といった手紙をもらった。私たちのやったことがずっと引き継がれているんだと思って安心した」
東日本大震災から14年。その間にも各地で大地震が発生。南海トラフ巨大地震も今後、30年以内に80%程度の確率で発生するとされています。松田さんが今、熱心に取り組んでいるのが、東日本大震災を教訓にした地域全体で支え合う取り組みです。
(松田哲也さん)
「(災害時には)香川県特有のため池の決壊がある。これはため池が決壊した場合の浸水想定図。うちの事務所の場合は0.5メートルから3メートル。この天井部分まで来る」

(松田哲也さん)
「(ため池が決壊したら)上流からがれきが一緒に流れてくると思う。あれが避難所の小学校。相当ここにがれきがたまるのではないか。液状化と合わせると、この地域の人たちが避難所までたどり着くことができないと思う」



(松田哲也さん)
「14年もたったのか。自分もあの時に聞いたこと見たことを封印したいと思ったこともある。私たちがずっと引き継いで、語り部となってやっていくことが大事なのではないかと思う。一人でも多くの人がBCPについて考えてもらえれば」
