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「103万円の壁引き上げ」私たちの暮らしはどう変わる?税理士に聞く【急上昇N 岡山・香川】

2025.01.22

「103万円の壁引き上げ」私たちの暮らしはどう変わる?税理士に聞く【急上昇N 岡山・香川】

今関心の高い話題を詳しく解説する急上昇ニュースのコーナーです。前週に引き続いて、いわゆる「年収の壁」について、見直しが行われると私たちの暮らしがどう変わるのか?専門家と考えます。

(堀靖英 記者)
今回はいわゆる「103万円の壁の引き上げ」について専門家に聞きます。スタジオにはおかやま中小企業支援実務家協議会の会員で、税理士の大澤和弘さんにお越しいただきました。

2024年10月の衆院選で国民民主党が訴えたのが、手取りを増やすための「103万円の壁引き上げ」でした。「103万円の壁」とは、所得税が発生しない収入ラインのこと。国民民主党は、最低賃金が以前より上がったことを踏まえ、178万円まで引き上げるよう求めました。

これに対し与党は、2025年度の税制改正大綱で、123万円まで引き上げる方針を決定。国民民主党の求める額とは大きな隔たりがあり、反発も起きています。

共働きの家庭やアルバイトの学生さんは特に気になる話題です。そもそもなぜ年収103万円まで税金がかからないのでしょうか?

(税理士の大澤和弘さん)
「103万円の壁」が決まったのは30年前の1995年。国民が最低限生活できる基準として、103万円を超えない所得には所得税がかからないとされました。収入から生活に必要なお金を引き算し、それを超えた部分に税金をかけましょうという考え方です。

(堀靖英 記者)
ただ30年経ち、当時とは物価が大きく変わっていますね。

(税理士の大澤和弘さん)
国民民主党は、最低賃金が以前より上がったことを踏まえ、178万円まで引き上げるよう求めました。与党は、一般的に指標とされる消費者物価指数を考慮して123万円、現在より20万円の引き上げに留めました。税制改正大綱では、178万円を目指して、2026年から引き上げる、との記載があります。

(堀靖英 記者)
103万円の壁が上がると、税収が減って自治体が困るという議論もあります。

(税理士の大澤和弘さん)
政府は、壁が1万円上がると国と地方でそれぞれ500億円税収が減ると試算しています。国民民主党の主張通り、103万円から178万円に引き上げると、国と地方の税収が7.6兆円減ることになります。

(堀靖英 記者)
ただ、減税したらプラスの波及効果もあるのではないですか?

(税理士の大澤和弘さん)
人手不足の影響が深刻になっている日本では、働き控えが減ることは経済にプラスの効果があると見込まれています。

(堀靖英 記者)
OHKでは年末年始に「年収の壁」に関するアンケートを行いました。その中で、仮に123万円まで壁が引き上げられたとして、私たちの生活はどう変わるのか?という疑問がありました。この点についていかがですか?

(税理士の大澤和弘さん)
123万円まで壁が引き上げられたことにより、1人暮らしの人の手取りは、年収300万円の人は約2万円、年収500万円の人は約3万円増えることになります。

(堀靖英 記者)
アルバイトやパートの方は扶養から外れにくくなって働きやすくなりそうですね。一方でもし、収入が壁の金額を超えたらどうなりますか?

(税理士の大澤和弘さん)
所得税は超えた分に5%が課税されます。例えば103万円を1万超えたら、払う所得税は、1万円の5%で500円になります。


(堀靖英 記者)
前回紹介したように、社会保険料の壁や、配偶者手当の壁も関係してきますね。

(税理士の大澤和弘さん)
他の壁による手取りの変化も頭に入れながらシミュレーションすることが必要でしょう。

(堀靖英 記者)
今回は、税金をめぐる103万円の壁の見直しについて見てきましたが、最後に、これからの生活を考える上で、アドバイスをお願いします。


(税理士の大澤和弘さん)
税金の場合は、社会保険と異なり、壁を超えてもいきなり増税になるのではなく、徐々に増えていきます。壁というより坂という言い方の方がいいかもしれません。給与明細や源泉徴収票などでご自身の所得や税金を意識してみてください。

(堀靖英 記者)
今回はおかやま中小企業支援実務家協議会の会員で、税理士の大澤和弘さんに話を伺いました。