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ハンセン病患者家族も差別・偏見に苦しんだ事実を語り継いでほしい…長島愛生園で教員対象に講演会【岡山】

2025.01.17

ハンセン病患者家族も差別・偏見に苦しんだ事実を語り継いでほしい…長島愛生園で教員対象に講演会【岡山】

ハンセン病の両親を持ち、孤児院で育てられた男性が、瀬戸内市の療養所で自身の体験を語りました。差別・偏見をなくすために子供たちを教える教員に語り継いでほしいと訴えました。

(ハンセン病元患者遺族 黄光男(ファン グァンナム)さん)
「らい予防法はとんでもない法律なんですけど、みんなが、らい予防法に沿って運動に取り組んでいったのは歴史の事実」

ハンセン病の歴史を学ぶ研修会の講師をつとめたのは、兵庫県尼崎市に住む黄光男さんです。黄さんの両親と姉はハンセン病の元患者で、瀬戸内市の長島愛生園に入所していました。

黄さんは、国の誤った隔離政策により家族も被害を受けたとして国を相手取り起こした国家賠償請求訴訟で、原告団の副団長を務めました。現在は、ハンセン病への差別や偏見をなくそうと、啓発活動に力を入れています。

(ハンセン病元患者遺族 黄光男さん)
「先生自身がきちんと学んで、それを子供たちに伝えるという取り組みをしてほしい」

この研修会は、黄さんの呼びかけで実現したもので、兵庫県を中心に小中学校の教諭や、教職員組合の職員など約30人が参加し、ハンセン病の歴史や課題を学びました。

黄さんは、1歳から9歳まで、岡山市の孤児院で育てられたこと。家族がハンセン病だったことは大人になるまで言えなかったことなど自らの体験を語りながら、差別や偏見のない社会の実現を訴えました。

(ハンセン病元患者遺族 黄光男さん)
「当時の医療関係者、マスコミ関係者、弁護士、法律を分かった人がもっと声を上げていたら隔離政策はもっと早い段階になくなっていてもおかしくなかった。ハンセン病問題の教訓は、おかしいことをおかしいと声を上げなかった結果、90年間も隔離政策が続いてしまったということ」

(参加者は…)
「子供に知ってほしいし、感じてほしい。やっぱり(差別)はいけない、自分たちがこれからどうしたらいいのか、子供と一緒に考えていけたら」
「(ハンセン病を)知らないまま子供たちを社会に送り出すのは教師としての責任を放棄している。そこは駄目だと思ったので、しっかり勉強して子供たちに返していきたい」
「子供たちにどう伝えるか、まだまだこれから勉強しないといけないが、今なお見えない差別は日常にあふれていると、もう一度問い直す機会をもらえた」

全国のハンセン病療養所の入所者の平均年齢は88.3歳。ハンセン病の歴史をどう語り継ぐかが課題となっています。