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2023.10.31

差別や貧困…南米に移住した8500人は今 婦人服の販売で成功した男性が語る【さぬきのプラス香川】

知っていると得する香川の豆知識のコーナー「さぬきのプラス」です。かつて国の政策により、香川から約8500人が南米に移住したのを知っていますか。高齢となった移住者がその苦労と故郷への思いを語りました。

(香川県の池田知事にピラニアのはく製を贈呈)
「これ本物のピラニアです」

10月16日、香川県の池田知事を表敬訪問した山本陽三さん(88)。1954年、19歳の時に家族と共に香川から南米ブラジルに移住した日系1世です。ブラジルでは、裕福な暮らしを夢見て農業に力を入れました。

(山本陽三さん)
「19歳から、体の細い男が畑仕事を15~20年やった。重いもの担ぐので腰を痛めた。今は杖をついて歩いている」

日本から南米への移住は明治時代に始まります。昭和の大恐慌や、戦後、占領していた中国や朝鮮などからの引き揚げに伴う人口急増の対策として、政府が積極的に進めました。移住者は全国で103万人、香川県では8535人に上ります。その多くが慣れない仕事や貧困、差別などに苦しんだとされています。

そうした中、山本さんは農業から婦人服の販売業に切り替えて成功します。北部のベレン市で香川県人会の会長を長年務め、ブラジル社会に根を張ってきました。そして高齢となった今もある理由から4年に1度のペースで故郷を訪問しています。

(山本陽三さん)
「ブラジルでは日本に行ってみたい日本を知りたいという人がたくさんいる。ぜひ香川県は門戸を開いて引き受けてほしい」

(前川裕喜記者)
「こうした訪問に対して、池田知事は『故郷への思いを長い間持ち続けていて心を動かされた』と答えました。地球儀でみると日本の反対側にあるブラジル。時代にほんろうされながら遠い異国で力強く生きた証を故郷に刻み付けたい。最後に山本さんのそうした思いを感じられた言葉を紹介します」

(山本陽三さん)
「日本とブラジルで交流が続いていって、私も元気なうちは手伝ってやろうと思って、それが1世の務めだと思う」

こうした南米移住者が作った県人会と交流するため、池田知事と県議会議員4人は、11月10日からブラジルやパラグアイを訪問します。県産品をPRし、経済的な交流の一歩となることが期待されますが、公費を使った旅費が議員1人当たり188万円となり、市民団体が反発しています。

訪問の意義と公費支出のバランスをどう考えるのか。今後、訪問の成果が注目されそうです。