2023.08.30
夏の甲子園で議論に「球児の髪型」 丸刈りをやめたら選手はどうなった?【急上昇ニュース岡山香川】
今話題のニュースやネットで関心を集めたニュースを詳しく解説する急上昇ニュース。配信担当の堀さんです。
今回は、この夏話題になった「高校球児の髪型」を考えます。高校球児といえばかつては丸刈りが当たり前でした。しかし、2023年の夏の甲子園では、丸刈りではない学校が、優勝した慶応高校をはじめ出場49校中7校、ベスト8のうち3校あり話題となりました。まずは街の声です。
(街の人は…)
「学校の考えもあるので一概には言えないが、髪型は自由でいいのではと思う」
「丸刈りのいいところもあるだろうけど、したからどうということもないと思う」
「自由でいい。特徴的な方がその人を覚えやすい」
「自由な校風は大賛成」
「スポーツや部活を頑張れるのなら何でもいい」
街の声は「自由でいい」が大半でした。
OHKでは今回、WEBとアプリでアンケートを実施。693件の回答を頂きました。40代以上の方が多く、女性が6割です。
高校球児の髪型について、「自由でいい」と考える人は56%、「ある程度のルールが必要」が36.5%、「丸刈りが好ましい」は7.5%でした。年齢層が高いほど「丸刈りが好ましい」という人が多く、男女の違いはありませんでした。
その理由も聞きました。「自由でいい」という人は、個人の意思を尊重するべき、「ある程度のルールが必要」は、長すぎる髪や金髪はNG、プレーに支障のない程度で、「丸刈りが好ましい」は、「清潔感がある」「爽やか」「高校球児らしくていい」という声がありました。
では実際に、現場ではどのように考えているのでしょうか?調べてみると、「髪型だけにとどまらない、高校野球の変化」が見えてきました。
香川県で髪型自由化を先駆けて取り入れたのが、丸亀高校の杉吉勇輝監督(40)です。小豆島高校の監督に就任した14年前の2009年、髪型を自由にしました。
(丸亀高校 杉吉勇輝監督)
「野球をすることに必要あるものとないものがある。必要のあるものは大事にするし、ないものは柔軟に考える。保護者に『高校の野球部がそれでいいのか』という意見があったと聞いているが、僕自身は気にしたことは一切ない」
小豆島高校はその後、2016年に21世紀枠でセンバツ甲子園にも出場。杉吉監督は次の赴任地の高瀬高校でも髪型を自由にしました。そして母校に赴任した2023年、夏の大会が終わり新チームになった時、髪型自由化を選手たちに伝えました。
それから1カ月経ち、選手たちは…
18人中5人が、丸刈りを続けると答えました。
(丸刈りを続ける選手は…)
「夏でも涼しくて野球がやりやすい」
「自分の中で高校野球は坊主が一番だと思ったので」
「坊主以外の髪型が分からない」
一方、伸ばすと答えたのは7人。
(これから伸ばす選手は…)
「坊主じゃない方が格好いいのでやめる」
「高校に入る時、坊主にするのが嫌だったので」
2000年、丸亀高校甲子園出場メンバーの杉吉監督。当時は全員丸刈りでした。
考えが変化したのは、慶応大学に進学後。学生コーチとして慶応高校の練習に参加した時でした。
(丸亀高校 杉吉勇輝監督)
「こんな大人な野球部があるのかと。髪型だけじゃなく、選手が考えて動いて議論し、僕は違うと思う、こうだと思う、としゃべれる子がいっぱいいた。こういう生徒を地元の香川県で育成したいと思った」
自分で考え、野球を楽しむ。慶応高校の精神、エンジョイベースボールを香川に広めたいと思うようになりました。
高校野球に吹く新しい風。
1つの象徴が、2023年夏の甲子園でベスト8に入った、おかやま山陽高校です。
堤尚彦監督(52)は、アフリカのジンバブエ代表監督を兼務するという異色の経歴の持ち主。髪型については、総合的な判断から丸刈りに統一していますが、選手には、その歴史的背景などを丁寧に説明するそうです。
根底にあるのは、「野球を深く知ることで楽しくなる」というエンジョイベースボールの精神です。
これからの高校野球はどう変わっていくのでしょうか?岡山大学の高岡敦史准教授は…
(岡山大学 高岡敦史准教授)
「野球を楽しみ、長く続けるためにどういう日々の活動が必要か、冷静に合理的に考えることが必要。その先、甲子園がどういう形になるかは色々な考え方がある」
また、甲子園についての著書もある筑波大学の清水諭教授は、指導者への研修ほか資格認定制度を導入してコーチングに関する認識を深めてもらうこと、そして生徒たちが部活動のことを自分たちで考えて決めることが重要であると述べています。
取材してみると、丸刈りで一体感が生まれるという声は多くありました。「丸刈りで気合を入れる」というエピソードは野球に限らずあります。丸刈り文化は簡単には無くならないと思いました。
ただ、「有無を言わさず丸刈り」、という時代でも無くなっています。今回紹介した2校も「考えること」を大切にしていました。「丸刈りにも髪型自由にも”信念”が必要な時代」になっています。
今回は、この夏話題になった「高校球児の髪型」を考えます。高校球児といえばかつては丸刈りが当たり前でした。しかし、2023年の夏の甲子園では、丸刈りではない学校が、優勝した慶応高校をはじめ出場49校中7校、ベスト8のうち3校あり話題となりました。まずは街の声です。
(街の人は…)
「学校の考えもあるので一概には言えないが、髪型は自由でいいのではと思う」
「丸刈りのいいところもあるだろうけど、したからどうということもないと思う」
「自由でいい。特徴的な方がその人を覚えやすい」
「自由な校風は大賛成」
「スポーツや部活を頑張れるのなら何でもいい」
街の声は「自由でいい」が大半でした。
![球児1](/cgi-image/28010/28010_WYDfDnMHSilWYMaXpJSvMMxphCsGjXpHSJVEQoKukJdprCWhEh.jpg)
![球児2](/cgi-image/28011/28011_bepuIlnmrytwOcJPtNlgRKymStIfRrQnECMItWgVrMYoPjFbiv.jpg)
![球児3](/cgi-image/28012/28012_GIUvXlvIlLMQjLgyGCnYfXBaIDIHQozSvRMkpVuWQaRsBHYxrg.jpg)
では実際に、現場ではどのように考えているのでしょうか?調べてみると、「髪型だけにとどまらない、高校野球の変化」が見えてきました。
![球児4](/cgi-image/28013/28013_szgnpcEeKarrkMWlgSLONmCHeyJdPiOSnvEpDxfFGRcESFhCgY.jpg)
(丸亀高校 杉吉勇輝監督)
「野球をすることに必要あるものとないものがある。必要のあるものは大事にするし、ないものは柔軟に考える。保護者に『高校の野球部がそれでいいのか』という意見があったと聞いているが、僕自身は気にしたことは一切ない」
小豆島高校はその後、2016年に21世紀枠でセンバツ甲子園にも出場。杉吉監督は次の赴任地の高瀬高校でも髪型を自由にしました。そして母校に赴任した2023年、夏の大会が終わり新チームになった時、髪型自由化を選手たちに伝えました。
それから1カ月経ち、選手たちは…
![球児5](/cgi-image/28014/28014_JGKYfAUIcaiBOTiabOXvPbiWbdeDkYxbhWVWKrAuudgrQxBlgn.jpg)
(丸刈りを続ける選手は…)
「夏でも涼しくて野球がやりやすい」
「自分の中で高校野球は坊主が一番だと思ったので」
「坊主以外の髪型が分からない」
![球児6](/cgi-image/28015/28015_afmpLfGbMiwnpJfauBJTKsaybTrlkaapOvJDBjiSmQspOreJnd.jpg)
(これから伸ばす選手は…)
「坊主じゃない方が格好いいのでやめる」
「高校に入る時、坊主にするのが嫌だったので」
![球児7](/cgi-image/28016/28016_USrpbeOmLuAuGGmfLdWPGRkxtvrOpGKaLfIWJcXmbQctizgBwk.jpg)
![球児8](/cgi-image/28017/28017_wqifnChLKpfBcdRiuYeMkjmSfLAtoDhyfwoVybcxKDEopixhMq.jpg)
(丸亀高校 杉吉勇輝監督)
「こんな大人な野球部があるのかと。髪型だけじゃなく、選手が考えて動いて議論し、僕は違うと思う、こうだと思う、としゃべれる子がいっぱいいた。こういう生徒を地元の香川県で育成したいと思った」
![球児9](/cgi-image/28018/28018_pdMAgHYutEnNmoQiXGUEcsFOfGpGzzbxCoaGXwnwxRjxguvKxh.jpg)
高校野球に吹く新しい風。
![球児10](/cgi-image/28019/28019_epsYLpxOQIUJDAOQgXtODYGEvyaEKonkWVmsjHNeCVEfNfIgxk.jpg)
![球児11](/cgi-image/28020/28020_fMFYyIjvDuCOJQaoukVcgzfFyILlylXEAyotFuGIJTdPCYdlwK.jpg)
![球児12](/cgi-image/28021/28021_CAJFzFLXobdVqgRQGQfGmzyjnsQdkVbrVabccpVDdTNQsLCxnX.jpg)
これからの高校野球はどう変わっていくのでしょうか?岡山大学の高岡敦史准教授は…
(岡山大学 高岡敦史准教授)
「野球を楽しみ、長く続けるためにどういう日々の活動が必要か、冷静に合理的に考えることが必要。その先、甲子園がどういう形になるかは色々な考え方がある」
また、甲子園についての著書もある筑波大学の清水諭教授は、指導者への研修ほか資格認定制度を導入してコーチングに関する認識を深めてもらうこと、そして生徒たちが部活動のことを自分たちで考えて決めることが重要であると述べています。
取材してみると、丸刈りで一体感が生まれるという声は多くありました。「丸刈りで気合を入れる」というエピソードは野球に限らずあります。丸刈り文化は簡単には無くならないと思いました。
ただ、「有無を言わさず丸刈り」、という時代でも無くなっています。今回紹介した2校も「考えること」を大切にしていました。「丸刈りにも髪型自由にも”信念”が必要な時代」になっています。