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約1万3000人が被害「森永ヒ素ミルク事件」 現存が確認される唯一の“未開封缶”を公開【岡山】

2023.05.02

約1万3000人が被害「森永ヒ素ミルク事件」 現存が確認される唯一の“未開封缶”を公開【岡山】

歴史を後世に伝える貴重な資料です。約1万3000人が被害を受けた1955年の森永ヒ素ミルク事件で、岡山大学に保管されていた未開封の粉ミルク缶が公開されています。

(岡山大学医学部 木下浩客員研究員)
「こちらがミルク缶になります」

高さ、直径とも約10センチの粉ミルク缶。一部がさび、長い年月を感じさせます。缶の底にはヒ素が混入した森永乳業の徳島工場で1955年5月6日に製造されたことを示す、「MF5506」と記されています。

事件の被害者の家族から、岡山大学医学部が1970年頃に譲り受けて保管していたもので、現存が確認されている唯一の未開封の缶です。森永ヒ素ミルク中毒事件は1955年、ヒ素が混入した森永乳業の粉ミルクを飲んだ赤ちゃんの皮膚が黒ずんだり、肝臓がはれたりするなど健康被害で約130人が亡くなったもので、岡山大学がヒ素による中毒が原因と初めて特定しました。

大学には患者のカルテも残されていて、その写しも缶と一緒に公開されています。

(岡山大学医学部 木下浩客員研究員)
「昭和30年に起こった事件だが、今でも後遺症で苦しんでいる人が たくさんいる。かつてこんな事件が岡山で起こったことを見てもらって、皆さん自身にいろんなことを感じて考えて勉強してもらいたい」

未開封の粉ミルク缶とカルテの展示は岡山大学医学部の医学資料室で2023年10月27日まで行われ、見学には医学部のホームページから事前の予約が必要です。