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「世界はすぐそばに」~ウクライナ侵攻1年 地方から考える国際関係~【記者のつぶやき 香川】

2023.02.10

「世界はすぐそばに」~ウクライナ侵攻1年 地方から考える国際関係~【記者のつぶやき 香川】

「早く戦争が終わってほしい」

 日本人との結婚をきっかけに、数十年前から香川県内で住むウクライナ出身の女性が悲痛な表情で訴えました。ロシアがウクライナに侵攻して2月24日で1年になりますが、今も戦闘が終わる気配はありません。女性はウクライナの知り合いに支援物資を送っていますが、混乱状態の中、現地に届かないことがあると言います。

知り合いを安全な日本に避難させたい。そう思ったこともありましたが、交通費や生活費が課題となり断念したそうです。日本政府には、避難を希望する人の支援をさらに強化してほしいと訴えます。

こうした状況の中、岡山・香川で暮らす私たちは何ができるでしょうか。

そもそも私たちの国際問題への関心は高まっているのでしょうか。最近、興味深い取材をしました。日本にもロシアとの間に領土問題があります。第二次世界大戦後、ロシアが実効支配している北方領土です。北方領土は、択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島のことで、2月7日が「北方領土の日」に定められています。この日に合わせて全国各地で問題に関する啓発イベントが行われていて、香川県でも2月18日に予定されています。

事務局の香川県によると、200人の定員に対して、50人ほどしか申し込みがないそうです。ロシアのウクライナ侵攻後、北方領土の返還交渉は暗礁に乗り上げ、全国ニュースでも大きく報道されました。問題への関心が高いと思っていただけに、申し込みが少ないことに驚きました。

確かに岡山・香川は、北方領土がある北海道や、中国や台湾と近い沖縄などと比べると、国際問題は身近ではありません。この1年OHKで報道した国際ニュースはわずかしかありませんでした。そうしたエリアの特性が関係しているのかもしれません。

しかし、この1年で岡山・香川を取り巻く国際環境は大きく変わりました。香川県では2022年11月、新型コロナの影響で3年近く運休していた高松空港の国際線が再開し、世界との交流が復活しています。高松市でもソウル線、台北線、香港線を使って訪れる観光客の姿が増えました。新型コロナで疲弊した地方の経済にとって、外国人観光客の消費は大きな意味を持ちます。

また、人口減少が進む中、身近な店でも外国人労働者が増えています。外国人や国際交流は想像以上に身近なものとなっています。さらに2023年は倉敷市と高松市でG7広島サミットに伴う関係大臣会合が開かれ、世界から注目されるエリアとなっています。

こうした状況の中、外国人や国際問題を知って、例え小さくても何か行動することが粋なふるまいと言えるのではないでしょうか。香川県の北方領土の啓発イベントでは、長年ロシアを研究する専門家の講演会が予定されています。そういった人の話を聞いてみるだけでも、新たな1歩が踏み出せるかもしれません。

(OHK岡山放送四国支社 前川裕喜)

〇 啓発イベント「みんなで知ろう!北方領土」
〇 2月18日午後1時~
〇 香川県社会福祉総合センター
〇 事前申し込み 香川県広聴広報課087-832-3820