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2022.02.11

「コロナ・アフターケア外来」開設1年 後遺症を専門に診療 症状は?対応は?【岡山・岡山市】

新型コロナの後遺症を専門に診療する「コロナ・アフターケア外来」が、岡山市の岡山大学病院に開設されて間もなく1年になります。

不安と闘った後遺症患者の証言と現状を取材しました。

(患者 40代女性)
「(嗅覚障害)一部のにおいだけ感じないことあった。(倦怠感)すごく頑張らないと体を起こせない」

岡山県内の40代の女性。2021年8月末に新型コロナウイルスに感染しました。

熱が下がっても、先ほどのような症状が続き、約1カ月半後にコロナ・アフターケア外来を受診しました。

(岡山大学病院 大塚文男副病院長)
「患者さんの症状で結構、倦怠感が強い。疲れやすくなって、におい嗅覚障害、その次が味覚(障害)そのあとは脱毛、頭痛こういったものが主な5つの症状になる」

岡山大学病院のコロナ・アフターケア外来は、2021年2月中旬に開設され、1月末までに200人余りが受診しました。

岡山大学病院の副病院長で、総合内科・総合診療科の大塚文男教授は、まだ科学的にははっきりしないものの、コロナウイルスの株によって、後遺症にも特徴があるといいます。

(岡山大学病院 大塚文男副病院長)
「アルファ株後(2021年6月~7月頃)、消化器系の症状が出てきた。お腹がおかしい、 下痢、ムカムカなど。デルタ株後(2021年8月頃~)、ブレインフォグ(脳の霧)、集中力低下、頭がまとまらないなど」

「ブレインフォグ」脳の霧ともいわれます。

ぼんやりと、もやがかかったような感覚のことで、症状としては、記憶障害、集中力の低下、頭痛などがあります。

先ほどの女性にもブレインフォグの症状が見られました。

(患者 40代女性)
「頭の中がいつもドロドロと、グルーッと回っている感じ。初めは後遺症の自覚なかった。日常生活で言葉が出づらい。会話の内容が頭に入ってこない。」

(岡山大学病院 大塚文男副病院長)
「(ブレインフォグへの対処は)特効薬はない。症状を確認し、血液検査等で潜んでいる病気がないか調べ、漢方薬を用いた」

後遺症の治療には、時間がかかることもわかってきました。

1月中旬までの患者数205人のうち、治療を終えたのは40人で、回復までに平均141日、約5カ月かかっています。

そして、約7割の患者が半年たっても症状が残った状態だといいます。

この女性は、症状が治まるまで4カ月かかりました。

(患者 40代女性)
「コロナに感染し、周りに迷惑をかけ、後ろめたい気持ちでいっぱいだった。自分の体が怠けているのか、長く療養し、体力が落ちたかと思っていた」

しかし、自分がブレインフォグであることがわかってから状況が変わったと言います。

(患者 40代女性)
「そういう症状(ブレインフォグ)とわかり、自分の症状を客観的に見ることができた。日常生活で気を付けることや、自分の状態がわかり、今はほぼ元通りになったと思う」

岡山大学病院のコロナ・アフターケア外来は、新型コロナの発症から1カ月を過ぎても症状が続く人が対象で、かかりつけ医の紹介状と予約が必要です。

(岡山大学病院 大塚文男副病院長)
「後遺症診療を始めた頃は、患者から、「私はどうなるのか?」という質問が多かった。未知の病気だったが、ある程度の経過がわかると、不必要に心配する必要はない。感染の抑制や予防はしっかりみんなで続けてほしい」