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きれいな海と豊かな海の両立を期待…瀬戸内環境保全特別措置法成立を受け地元の反応【岡山・岡山市】

2021.06.08

きれいな海と豊かな海の両立を期待…瀬戸内環境保全特別措置法成立を受け地元の反応【岡山・岡山市】

瀬戸内海の海域の実情に応じた水質管理を可能にする改正特別措置法が6月3日、衆議院本会議で可決、成立しました。法改正で今後、瀬戸内海の環境は、どう変わるのでしょうか。取材しました。

岡山市でノリの養殖業を50年続けている豊田安彦さんです。ここ15年ほどある深刻なノリの変化に悩まされてきました。

(朝日漁協 豊田安彦組合長)
「ノリに栄養が十分いかない。色落ちがする。人間で言ったら栄養失調のような。茶色ならいいけど最終的には金髪(のように)なる。」

それはノリの色落ち。黒ではなく薄い黄色に色落ちしたノリは、市場価値が急落するといいます。ノリの価格に直結する色落ち、その原因が…

(朝日漁協 豊田安彦組合長)
「窒素とリンがいる。栄養塩が無いから。」

窒素やリンは「栄養塩」と呼ばれ、工場などからの排水に多く含まれます。高度経済成長期には赤潮発生の一因とされ、排出規制が進められてきました。

しかし、栄養塩の濃度の低下に伴い水質は改善された一方、ノリやワカメの栄養分が減り色落ちが進むなど漁業には悪影響が出ていました。

今回の改正法では、きれいな海と豊かな海を両立させるため、知事が、栄養塩の濃度を調整できるようになります。

(岡山県環境管理課 野崎隆一郎統括副参事)
「瀬戸内海の水質は一部の海域ではいまだに環境基準が達成できていない。(栄養塩の濃度上昇を)やりすぎて赤潮がまた起きないようコントロールしながら。」

朝日漁協の豊田組合長は、今回の法改正で、きれいな海と豊かな海の両立が実現することを期待しています。

(朝日漁協 豊田組合長)
「(栄養塩の濃度をあげると)濁りが増すと。環境保全の人やシーカヤックの人は、瀬戸内海は透明度がいいのに、と不服を言う。その人達も困るけど私らも生活がかかってる。」

新たな瀬戸内海の姿を目指す今回の法改正、国は、2022年4月の施行を目指します。