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受刑者が更生を誓う塀の中で深刻な問題が…岡山刑務所の知られざる実態【岡山】

2021.01.21

受刑者が更生を誓う塀の中で深刻な問題が…岡山刑務所の知られざる実態【岡山】

     

殺人などの罪を犯した長期の受刑者を収容する岡山刑務所。受刑者が更生を誓う塀の中で、今、深刻な問題が起きています。知られざる実態を取材しました。
z2刑務.jpg「点検 番号(1、2、3、4)4名。番号(1、2、3、4、5)5名)」「3工場、整列」     
初犯で刑期10年以上の受刑者を収容する岡山刑務所。受刑者は、最も多かった2006年には774人いましたが、現在は約430人。半数が殺人などの罪を犯した無期懲役の受刑者です。
z3刑務.jpg(受刑者)
「本日の安全目標、自分だけでなく、他人の安全にも気を付けること、唱和願います。自分だけでなく、他人の安全に気を付けること」
(刑務官)
「作業始め」         
こちらの受刑者は、強盗殺人の罪で服役し、刑務所での生活は20年近くになります。年齢は80代前半。しかし、日々の刑務作業は若い受刑者と変わりません。
(受刑者80代前半・強盗殺人罪・無期懲役)
「事件を起こしてから後悔しているんですが、もう遅いですけどね。自分が出た時は、兄弟はもう他界していると思いますので、90歳過ぎると思うんですよ。」
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長期の受刑者を収容する岡山刑務所 4人に1人が高齢者

今、塀の中で起きている深刻な問題。それは受刑者の高齢化です。65歳以上の高齢者の割合は統計を取り始めた2012年は17.9%でしたが、2020年は27.6%でした。4人に1人が高齢者という現状に、刑務所では対策が進められています。
z5刑務.jpg(報告 岸下恵介アナウンサー)
「こちらでは、椅子に座って作業している受刑者もいるんですが、椅子に座ることが難しい受刑者は、座椅子に座って作業を行っています。そして、今後の高齢化を見越して、余分に席も設けられています。」
z7刑務.jpg2020年11月に運用が始まった「養護工場」です。受刑者が行うのは、緩衝材づくりなどの簡単な作業。老化が著しい高齢者を中心に19人の受刑者が作業にあたる中、時にはこんな光景もみられます。
(介助する受刑者)
「そのまま、そのまま、もう少し。まだよ、まだよ。もうちょっと行こうか、前向いて、はい、いいよ」            
z8刑務.jpg介助しているのもまた受刑者です。身寄りのない高齢受刑者が、仮に出所しても生活できるのか…。出所後の彼らの生活をどう考えるかということが課題の1つです。

押し寄せる高齢化の波 コストの増加も課題に…

(運動場 行進)
受刑者には1日30分間、運動の時間が与えられています。
(シャッターが上がる)「ガラガラ」
養護工場の受刑者は、運動場までの移動に時間がかかります。そのため、工場のすぐ横で運動できるように、そして、転倒によるケガを防ぐため人工芝を整備しました。高齢化に対応するコストの増加も課題となっています。
z9刑務.jpg(岡山刑務所処遇部 山本哲也 統括矯正処遇官)
「介助していくことが、大変になってくることも出てくると思うんです。多々。そうなった時に難しい問題が出てくるんじゃないかと。やはり設備面でのことが、これで足りるのかなと不安なところではございます」 
z10刑務.jpg(病棟の点呼)
「(7室、番号)番号は覚えていないんです。分からんのです。」 
z11刑務.jpg認知症の診断を受けた80代前半の受刑者です。殺人などの罪で無期懲役になりましたが、当時のことは全く覚えていません。こうした受刑者がどう罪を償っていけば良いのか、贖罪や更生の在り方も問われ始めています。
z12刑務.jpg(刑務官)
「はい、作業材料。こっち来て」 
刑務作業は工場ではなく、部屋の中で行います。刑務官が毎回、イチから作業を指導しています。
z13刑務.jpg(刑務官 指導)
「出来上がった時にこういう風に隙間が空かない。三角形の角が全部そろっている。それの確認をして出来上がり。分かった?じゃあ、続きやって」          
また、入浴の時に介助が必要な受刑者もいます。このため2017年7月から週に5日介護福祉士による介助が行われています。
z14刑務.jpg(介護福祉士 小野正樹さん)
「体洗うから手を伸ばして。ちょっと我慢して、すぐ終わるから」「だいたい工場など一般の人は、自分で全部できるんですけど、この人たちはできないから、我々が手伝って15分以内に終わらせる」 
z15刑務.jpg 受刑者の体の機能が衰えて、寝たきりにならないように、足腰を使った運動の指導も行われています。
(介護福祉士 小野正樹さん)
「次はスクワット。これぐらいの感じで。こんな感じ。1、2、3、4」 
z16刑務.jpg(岡山刑務所処遇部 山本哲也 統括矯正処遇官)
「社会の力も、やはり、借りなければならないんじゃないかなと思います。刑務所の中の既存のものでは対応しきれない部分が出てくると思いますので」「福祉施設的なところは、多々あるかも分かりませんけど、やはり改善更生、社会復帰というところを目指してやっていきたいと思っております。」 
z17刑務.jpg長期の受刑者を抱えるからこそ、押し寄せる高齢化の波。今、岡山刑務所が向き合っている最も深刻な問題です。
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