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隔離政策の歴史を後世に…長島愛生園で「十坪住宅」の保存修復終了【岡山・瀬戸内市】

2020.10.30

隔離政策の歴史を後世に…長島愛生園で「十坪住宅」の保存修復終了【岡山・瀬戸内市】

ハンセン病隔離政策の歴史を後世に残す取り組みです。瀬戸内市の国立ハンセン病療養所、長島愛生園で進められていた当時の入所者の住まい、「十坪住宅」の保存修復が終了しました。

(建築会社とボランティアのやり取り)
「全部新しくすればきれいになるが、当時の物は残しておかないと保存したことにならない」

保存修復が行われていたのは瀬戸内市の国立ハンセン病療養所、長島愛生園に残る「十坪住宅」です。雨漏りしていた屋根は瓦をすべて葺き替え、老朽化した壁は新しくしました。

「十坪住宅」はハンセン病患者を強制隔離する「無らい県運動」が本格化した1930年頃に入所者が暮らす場所として建てられ、入所者5~6人がわずか33平方メートルの広さで生活していました。約150棟が建てられましたが現在残っているのは老朽化した5棟だけです。

(募金活動)
「十坪住宅のための募金、署名活動へのご協力、よろしくお願いします」

長島愛生園で活動するボランティア団体の「ゆいの会」が、5年前から、募金やクラウドファンディングで修復資金を集めてきました。10月30日は、修復が終わった住宅についてボランティアのメンバーが建築業者から説明を受けました。

今後の一般公開に向けて老朽化した壁の一部は、ガラスカバーで保護して残すなど建物の構造や当時の生活の様子が分かるようになっています。

(ボランティアゆいの会 疋田邦男さん)
「隔離政策をされた人たちの生きた証言。人はいなくなっても建物さえ残しておけばここでどんな生活が営まれたか、どんな風に辛かったのか、建物の中を見ることで伝わってくる。その伝え方を私たちは残さないといけない」

完成した十坪住宅は2021年4月頃一般公開される予定です。