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2022.06.06

「ゼロバリア」ってなに? あらゆる障壁のない社会を目指して…「岡山モデル」の提案へ【岡山】

手話が語る福祉のコーナーです。障壁のない社会を目指す上で、 今、注目を集めているのが「近付きやすい」などの意味を持つアクセシビリティという考え方です。国の内外で広がる最新の取り組みを取材しました。

2022年2月、オーストリアにある国連のウィーン事務所である曲が披露されました。
ゼロ バリア01
「♪ゼロバリアズ(バリアのない)♪ゼロウォールズ(障壁のない)」
ゼロ バリア02
世界各国の手話で訴えるのは「ゼロバリア」障壁のない社会です。国連障害者権利条約の理念に基づきオーストリアのエッスル財団が世界のバリアフリー活動を称えようと、2008年に立ち上げたゼロ・プロジェクトの表彰式です。
ゼロ バリア03
2022年は世界35カ国、76の取り組みが表彰されましたが 、日本からは手話放送を約30年継続するOHK岡山放送も日本の放送局として初めて受賞しました。
ゼロ バリア04
聴覚障害者らと手話放送の委員会を立ち上げ番組制作を持続可能にしていることや、手話放送普及に向け協力企業を募るビジネスモデルを構築したことなどが評価されました。
ゼロ バリア05
障壁のない社会のために掲げられた今回のテーマはアクセシビリティ。「近付きやすさ」などと訳される英単語で、障害者が健常者と格差なく社会参加できたり情報を取得できたりする環境を目指しています。

(篠田吉央キャスター)
「国連のウィーン事務所です。こちらでは3日間に渡ってゼロ・プロジェクトの国際会議が開かれています。ご覧のように、様々な会場で世界の先進的なバリアフリーの取り組みが紹介されています」
ゼロ バリア07
こちらは体の不自由な人がハイキングなどを楽しむため支援者の育成などを行うチリのプログラム。
ゼロ バリア08
一方、こちらは目の見えない人に紙幣の種類などを教えるチェコのアプリです。
ゼロ バリア09
取り組みの紹介だけでなく、参加者同士が各取り組みについて意見交換し、新たなアイデアを構築するのも特徴です。

そんな中OHKではゼロ・プロジェクトを通じ出会った世界の先進的な取り組みを日本国内に伝えようと、オンラインでの説明会や各国の取り組み動画を日本語で紹介するサイトを立ち上げます。

動画を翻訳したのは岡山市のノートルダム清心女子大学の学生です。世界の取り組みの翻訳を通じてアクセシビリティについて意識が高まったといいます。
ゼロ バリア10
(翻訳を担当した学生は…)
「背景知識を知ることで、自分が知らなかったものを知ることができて翻訳にも影響していくことが勉強になった。(バリアフリー活動に)あまりなじみがなかったので最初は理解に苦しんだ部分もあった。相手を理解するのも大事だと思うが、まずは相手のことを知ることが理解につながると思う」
ゼロ バリア11
(篠田吉央キャスター)
「こうした中、国会で新しい法律が成立しました」

(参議院厚生労働委員会 川田龍平理事)
「社会経済文化などあらゆる分野の活動に参加するためには、障害者が必要とする情報のアクセシビリティを向上させることやコミュニケーションの手段を充実させることが極めて重要であります」

5月、成立・施行された障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法です。
ゼロ バリア12情報取得や意思疎通に関して健常者と障害者の格差を無くし、「障壁のない社会」を目指す法律です。

(篠田吉央キャスター)
「この法律を受け、OHK岡山放送では日常の様々なものに手話で説明を付ける、新しい岡山モデルを考えました」

タオルの脇にあるQRコードを読み取ると、商品の説明が手話と字幕で表示されます。
ゼロ バリア14
また、絵画を鑑賞する際に聴覚障害者は音声ガイドを使えませんが、QRコードによる手話動画で絵画の説明をすることで文化芸術分野での情報アクセシビリティ向上も期待できます。
ゼロ バリア15
(大原美術館 柳沢秀行学芸統括)
「たくさんの情報の中から何を言語としてお伝えするか、そして言語としてお伝えする時もどういった手話がいいのか、それぞれの相手に何が一番適した伝え方なのかということを常に気を付けないといけないと思っています」
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(QR作成に協力 佐藤美恵子さん)
「どこに行っても情報がわかり表示されるものがあれば、聞こえない人もうれしいし情報も得ることができる。生活が豊かになり世界が広がる」
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国の内外で注目を集めるアクセシビリティ。障壁のない社会を目指す様々な取り組みが広がり始めています。
ゼロ バリア18
(篠田吉央キャスター)
情報から誰一人取り残されないこと願っています。