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2022.04.18

たった5日の研修でパン店開業!全国で300店超え 成功の秘訣は?【岡山・岡山市】

4月12日は、日本でパンが初めて製造されたことから、パンの日とされています。

実は、岡山市はパンの購入量が全国トップクラス、そんなパンのまち岡山の味を全国に広げる1人のパン職人の思いに迫ります。

今や定番の1つとなったカレーパンに、上品な甘みが特長のクリームパンなど、約70種類のパンが並ぶ岡山市北区の「おかやま工房リエゾン」。
パン職人01
できあがるとすぐに売り切れる人気ぶりです。
パン職人01-1
(客は…)
「近所だからよく来る。子供用のパンがあるので、つい来てしまう」
パン職人02
「種類が多く、季節に合わせて商品が出ているのが良い」

大人気のパンですが、実は岡山市は、その消費量が全国トップクラス。全国の県庁所在地と政令市を対象にした1世帯が1年間に買うパンの量のランキングです。岡山市は56.4キロで1位となっています。
パン職人03
そんなパンのまち岡山を代表する職人の1人、おかやま工房の河上祐隆代表です。
パン職人04
河上さんは、18歳で職人の道に入り、22歳の時に約1400万円の借金をして小さな店をオープンさせました。
パン職人05
今では1日に訪れるお客さんは約1500人、県内でも有数の繁盛店に育て上げました。
パン職人06
そんな河上さんのこだわりは、100%国産の小麦を使ったパンづくり。長年の研究で、安全安心でおいしいパンを生み出しました。
パン職人07
(おかやま工房 河上祐隆代表)
「(パン作りで)唯一手作りはどこかというと、作業台で生地に触れること。」
パン職人08
「ここでパンの味は変わる。生物、化学を勉強していたので、どのように生地に触れるとパンがふわっとおいしく焼きあがるか、理論で理解している」

もうひとつのこだわりは、「焼きたて」。一度にたくさん作るのではなく、小出しにすることで、焼きたてのパンを提供しています。
パン職人10
(おかやま工房 河上祐隆代表)
「パン屋は棚を埋めるのではなく、小売業のように商品を並べてしまうと、どんどん劣化、老化してしまうので、どちらかというとチャンスロスを作ってでも、おいしい焼きたてのパンを 提供することが大事」

おかやま工房の直営店は県内に2店、海外に2店、しかし、河上さんの味は全国に広がっています。その理由は…。
パン職人12
(おかやま工房 河上祐隆代表)
「地域の人に地域の人のためのパン屋を作ってもらう、それがパン屋成功の秘訣。開業の手伝い、支援をするというリエゾン・プロジェクトを立ち上げた」

河上さんが立ち上げたリエゾン・プロジェクトです。
パン職人13
経験、未経験を問わず、パン屋を開きたい人を募り、パンの作り方から陳列の仕方、接客といったノウハウを伝授します。

フランチャイズではなく、目指すのは独立開業。その研修期間はたった5日間です。
パン職人14
(おかやま工房 河上祐隆代表)
「5日間で経験がない商売がすぐできるのはあり得ない。パン業界でも先輩たちから、うさんくさいことしている。お前も3年修業したのに、なんで5日間でパン屋ができるのか?訳が分からない(と言われた)。誰も理解できない」

誰もが不可能だと思っていたことを実現させたのは、河上さんが独自にまとめたマニュアルでした。
パン職人16
長年の経験で培った職人技や感覚的な部分を、未経験者でもできるように数値化したこのマニュアルが、たった5日間で誰でも河上さんのパンづくりを習得できる研修を生み出したのです。

(リエゾンプロジェクトの受講者は…)
「もう少し年を取ってからやることがあったら良いなと思ったのと、パン作りが好きなので参加した。メロンパンやシナモンロールを焼くのが好きで、今回習って、全然作り方が違うことが分かった」
パン職人18
「できれば自分の住んでいる地域に店を出せれば良い。近所の人においしいと言ってもらえる店ができたら…という夢を、この5日間で強く感じた」
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受講者の夢をかなえるこのプロジェクトでは、これまでに全国で300以上の店が開業しました。

最近ではコロナ禍で打撃を受けた飲食店などの業態の転換先として人気が高まっているというパンづくりの世界。河上さんのプロジェクトが、コロナ禍をきっかけに更に注目を集めるかもしれません。

(おかやま工房 河上祐隆代表)
「安全でおいしいパンを1人でも多くの人に提供したい、届けたいという思いが、直営店ではなく開業支援という形に。」
パン職人20
「人生は100年時代。仕事を辞めて定年してからも人生が長い。第二の人生で何か世のため人のためになるようなことが、一つパン屋で提案できれば」

安全でおいしいパンを1人でも多くの人に…。
「パンのまち」岡山で生まれた河上さんの思いは、受講者の夢とともに広がり続けています。
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